30: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/12(木) 07:33:24.74 ID:VXIG2kdO0
青子は「わからんけど」と難しい顔で首を振った。
「うちも、おとんと大喧嘩して大学行ったからなあ」
31: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/12(木) 22:19:14.18 ID:VXIG2kdO0
●
そろそろ夕暮れどき。
32: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/12(木) 22:20:01.26 ID:VXIG2kdO0
「周子! ぼーっとしない!」
縁台を店に戻そうとしているあたしの背中に、お母さんの叱責がぶつかる。
33: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/12(木) 22:20:52.01 ID:VXIG2kdO0
言い返そうと思って振り返る途中で、池の水面に映ったあたしと目があった。
色々考えてるんやから、と言ってやろうとした。
なにを? と水面のあたしが問いかけてくる。
34: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/12(木) 22:21:56.35 ID:VXIG2kdO0
なにを?
高校を出て、およそ半年。
家で過ごしながら、あたしは何を考えていたの?
35: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/12(木) 22:22:42.07 ID:VXIG2kdO0
悔しい!
脇目も振らずに、無言でその場を駆けだした。
悔しい、悔しい!
36: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/12(木) 22:23:29.16 ID:VXIG2kdO0
背後から、お母さんの声は追ってこなかった。
庭を走り抜け、門屋の暖簾をはねとばす。
下駄ばきとは思えない速さで表通りに飛び出したけれど。
37: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/12(木) 22:24:26.19 ID:VXIG2kdO0
「ご、ごめんなさい」
結構な勢いで衝突してしまったけれど、転倒して掘割に落ちたりしなかったのは僥倖だった。
38: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/12(木) 22:25:14.02 ID:VXIG2kdO0
「って、大丈夫か! どこか怪我したとか」
な、なんでそんな大げさなのさ。
39: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/12(木) 22:25:58.72 ID:VXIG2kdO0
「ちがっ、う!」
羞恥でかああっと顔が火照る。
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