42: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 12:06:18.88 ID:X17K8DuQ0
「……っ」
忍はそれだけで十分だと言わんばかりに何かを察してしまった。
次の瞬間、立ち上がって音楽室を飛び出していこうとする。
真っ赤になりそうな目元を片腕で押さえて、何もかもを投げ捨てるように。
何も言わないことはきっとあまりにも伝わりすぎてしまったのかもしれない。
僕は慌てて手を伸ばして静止しようとした。
あぁ、違くて。いや違わないんだけど。そうじゃなくて。
何が言いたいのか、何を考えているのか自分でも分からない。
なにひとつ言葉にできなかった自身をまだちゃんと認識していなかった。
「来ないでっ!」
はっきりとした忍の拒絶の声が背中越しに伝わる。
僕は伸ばしかけた手をただ降ろすしかなかった。
走っていく忍の背中を見つめる以外にできることがなかった。
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