52: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/04/09(月) 20:13:10.49 ID:Tvwjholl0
大司教「なあ、剣聖よ。儂は思うのじゃ」
剣聖「突然どうした」
大司教「行政官、あやつには勇者を選ぶ気が無いのではないかと」
剣聖「・・・どういうことだ」
大司教「この面接が始まって幾日が経った?勇者足る力量の男は山の数ほどいたぞ」
大司教「だが、儂らはただ一人の勇者も選ぶことができていない。これはどういうことじゃ」
剣聖「行政官のせいだと?」
剣聖「だが、奴が『可』を出したこともあったではないか」
大司教「最初の若者と、異世界から来た優男か」
剣聖「そう。だが、あの時『不可』を出したのは俺とお前ではなかったか?」
剣聖「勇者の選定には、三人の『可』が必要だ。ならば、俺たちにも原因があると言えるのではないか」
大司教「そこじゃよ」
大司教「行政官が『可』を出したのは、儂らが頑なに『不可』を主張をしたあの時だけじゃ」
剣聖「・・・」
大司教「特に優男の時じゃ、行政官の行動は少し変であった」
剣聖「あの時は・・・俺が反対したんだったな」
大司教「ああ、だが優男の実力が他の候補者より郡を抜いていたことは事実じゃった」
大司教「あやつの立場からするならば、二人でお主を説得するのが普通じゃろう」
剣聖「確かに、国からは勇者の選定を急かされているしな・・・」
大司教「だが、あやつはそうはしなかった。むしろ、採決を急いでいるように儂には見えた」
剣聖「・・・思い返せば、そうだったかもしれん」
大司教「核心はもてん、だが復活した魔王が大陸を蹂躙しているこの危機の中。意図的に勇者の選定を遅らせているとしたら」
剣聖「・・・国への背信行為とも受け取られかねんな。理由は想像もつかんが」
剣聖「魔王軍、もしくは他国の息がかかっている・・・といった所か?」
大司教「最悪の状況を想定するのが、お主の生存戦略なのはわかるが。そこまではいかんじゃろう」
大司教「だが、行政官は信用ならん男かもしれん」
大司教「・・・少なくとも、この儂らの仕事においては」
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