未央「ハッピー、ホワイトデー。しぶりん」 凛「ハッピーホワイトデー。未央」
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11: ◆YBm93b2VSc
2018/03/29(木) 19:13:39.74 ID:vYlDhkEr0
急げ、急げ、急げ。まだ、間に合うはずだから。そう信じて私は駅の前まで走り抜けた。ああもう、しぶりんは既に改札を抜けてしまっている。だったら、

未央「しっ、ぶ、りーーーーーん!!!!!」

 周りから凄い見られてる。気にしない。しぶりんも声にびっくりして、驚いた表情でこっちに振り返る。しぶりんに気付いて貰えたら、それでいい。ここまで走ってきたから息が切れて、膝が崩れる。でも、これだけは。これだけは今日、顔を見て言いたかったから。私はキャンディーをしぶりんに放り投げて、彼女がしっかり受け止めたのを見届けて、彼女に届ける。

未央「ハッピー、ホワイトデー。しぶりん」

 そう言うと、しぶりんは少し恥ずかしそうに、こっちをみて

凛「ハッピーホワイトデー。未央」

 と返して人混みへと消えていった。周りの人達も、何も無かったかのように流れていく。そんな中で、私だけが一人駅前に残されたように佇んでいた。ああ、さっきから私の顔が熱いのは。鼓動がライブの後より早いのは。きっとここまで走ってきたせいなんだ。そんな誰にも聞こえないような言い訳をして、私のホワイトデーは終わったのだった。

――
 電車に揺られながら、手元のキャンディーを弄ぶ。まさか未央が走って追ってくるなんて思いもしなかった。もし間に合わなかったらとか考えないんだろうか。全く、未央はいつもそうだ。……ああもう。ずっと未央の事を考えている。ああ、さっきから私の顔が熱いのは。鼓動がライブの後より早いのは。きっと3月にしては暖かいのに、コートを着ているからなんだろう。そんな誰にも聞こえないような言い訳をして、私のホワイトデーは終わったのだった。


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