14:名無しNIPPER[saga]
2018/03/26(月) 00:58:39.25 ID:jMQx/ZfK0
谷風「とある離れ小島にある鎮守府の周りには、これが見事に何もない」
谷風「テレビもラジオもないもんで、楽しみと言ったら月に二回の本土からの定期便」
谷風「海軍の便だから雑誌やら何やらも自由に持ち込めない、必然娯楽は食糧類……つまりは酒に集中する」
15:名無しNIPPER[saga]
2018/03/26(月) 00:59:23.43 ID:jMQx/ZfK0
千歳「どうして、と言われても……私達は最近特に変わったこともなく」
伊14「日が昇ったら目覚ましに一杯呑んでー」
Pola「昼は白ワインがいいですねぇ〜パスタとよく合うんですよ〜」
16:名無しNIPPER[saga]
2018/03/26(月) 01:01:41.67 ID:jMQx/ZfK0
提督「毎日呑んでばかりで、もう半月も出撃してないだろうと言ってるんだ」
千歳「だって……ねえ?」
伊14「近頃は鎮守府近辺まで深海棲艦が来ることはほとんどないし」
17:名無しNIPPER[saga]
2018/03/26(月) 01:02:40.34 ID:jMQx/ZfK0
提督「お前たちは昨日も散々呑んで騒いで、深海棲艦がすぐ近くまで来たことにも気付かず」
提督「あまりの警戒のお粗末さに、向こうも砲撃せずに石だけ投げて帰っていったんだぞ」
提督「まったく舐められてるだろう? こんな様では我が鎮守府の沽券にかかわる」
18:名無しNIPPER[saga]
2018/03/26(月) 01:03:32.68 ID:jMQx/ZfK0
谷風「呑兵衛共もこれには堪えて、これからはきちんと出撃する、禁酒だけは勘弁してくれと言うが、提督は一切聞く耳を持たない」
谷風「いつの間にこしらえたやら、鎮守府の入り口に関所を置いて、積み荷の運び込みの時には自ら検査を行うと宣言した」
19:名無しNIPPER[saga]
2018/03/26(月) 01:04:28.75 ID:jMQx/ZfK0
谷風「次の定期便の日、関所で積み荷の検査を行う提督の所へ向かう艦娘が一人」
Pola「提督ぅ〜Polaお酒は諦めて別のものを飲むことにしましたぁ〜」
20:名無しNIPPER[saga]
2018/03/26(月) 01:05:10.48 ID:jMQx/ZfK0
提督「どれ、味を確かめてみるか」
谷風「と、一口飲んだ提督は真っ赤になって、」
21:名無しNIPPER[saga]
2018/03/26(月) 01:06:37.40 ID:jMQx/ZfK0
谷風「そういうが早いか、提督は瓶をすべて奪い取り、あっという間に飲み干してしまった」
提督「ウーイ……とにかくしゃけはいかんからな、絶対にとおさんぞぉ」
22:名無しNIPPER[saga]
2018/03/26(月) 01:07:14.38 ID:jMQx/ZfK0
谷風「さて、すっかり酔っぱらった提督の所へ再び向かう艦娘が一人」
那智「提督、荷物の持ち込みをお願いしたい」
23:名無しNIPPER[saga]
2018/03/26(月) 01:08:09.70 ID:jMQx/ZfK0
提督「どぉせ……アー……しゃけだろぉ、味を見るぞぉ」
谷風「一口飲んだ提督はたまらず吹き出した」
24: ◆uWMZyB79vg[saga]
2018/03/26(月) 01:09:14.11 ID:jMQx/ZfK0
以上です。
前半の「芝浜」は有名な人情噺です。筋書きがシンプルかつ分かりやすいサゲがあるので、ひょっとしたらこれを元にしたドラマや劇を見たことがあるかもしれません。
後半の「禁酒番屋」は本来関所を通って酒を売りたい酒屋たちの噺ですが、裏返して鎮守府に酒を持ち込みたい艦娘たちを主人公として翻案しました。
「おしっこなんてご褒美じゃないか」と思ったそこのあなた、一つ注意しておきますが今回の噺の中では「艦娘のものだ」とは一言も言っていません。つまり提督が飲んだのは……
元の噺に興味があれば、是非原典に触れてください。
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