1:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/23(金) 22:29:06.41 ID:8YdDaY8n0
高木さん「あははは、私の勝ち。西片よわいなぁ」
西片「くぅ〜!高木さんめぇ…!」
高木さん「さーて、罰ゲーム、何にしよっかなぁ…」
西片「うう…」
いつもの帰り道。
隣の席の高木さんと、気づいた頃には当然のようにいっしょに帰るようになった俺。
高木さんは俺と歩幅を合わせるために自転車を押して、俺はそんな高木さんに一日中からかわれて。
ああ、今日は何回腕立て伏せするのだろう。次こそ、いや明日こそは高木さんをからかってやろうとまた作戦を考えて。
高木さん「あ、そうだ。手伝ってほしいことがあったんだ。ちょっときついかもだけど、平気?」
西片「わからないけど、俺にできる範囲で」
高木さん「西片なら大丈夫だと思うけど、どうだろうね」
西片「何させるつもりなの…?」
そんな日常が、このままずっと続くのだと俺は疑いもしなかった。
高木さん「私、もうすぐ引っ越しするから」
西片「……え……?」
そう、信じていたんだ。
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/23(金) 22:39:08.48 ID:8YdDaY8n0
ひっこし…ヒッコシ…引っ越し…って、言ったよな
引っ越し…高木さんが?
3:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/23(金) 22:49:12.57 ID:8YdDaY8n0
西片「あの、さ。高木さん」
高木さん「ん?」
西片「さっきの、引っ越しって…」
4:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/23(金) 22:53:15.10 ID:8YdDaY8n0
西片「…ごちそうさま」カチャ
西片母「もう食べ終わったの?」
西片「うん…ちょっとお腹の調子が悪くて」
5:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/23(金) 23:08:32.07 ID:8YdDaY8n0
西片「…はぁ」
帰ってもずっと、高木さんのことが頭から離れなかった。大好きなゲームをやっても楽しくないし、ごはんも喉を通らなかった。
6:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/23(金) 23:17:29.89 ID:8YdDaY8n0
なんとなく流し読みしていると、数あるうちの何気ない話が俺の目に止まった。
それは、ある事情で主人公と離ればなれになってしまうヒロインを、キザなセリフで引き留めるという話だった。
7:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/23(金) 23:30:06.25 ID:8YdDaY8n0
高木さん「おはよ、西片」
西片「…おはよう」
高木さん「あれ?元気ないね?」
8:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/23(金) 23:44:44.70 ID:8YdDaY8n0
西片「はぁ…」
時間割には俺の嫌いな教科もなかった。大好きな体育だってあった。なのに今日は、今までで一番学校にいる時間が楽しくなかった。
9:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/23(金) 23:58:05.15 ID:8YdDaY8n0
体がきついから寝るとまた嘘をついて、自分の部屋にこもっていると、高木さんからメッセージが送られてきた。
高木さん≪体の調子はどう?≫
10:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/24(土) 00:05:43.23 ID:t1qdZ7WB0
忘れてた、頼まれてたんだ。
西片 「…行くべきだろうか…」
11:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/24(土) 00:16:00.98 ID:t1qdZ7WB0
西片「…いただきます」
西片母「はい、どーぞ」
食卓には俺を気遣ってか、病気の時に食べるような優しい味の料理や消化に良い物が並んでいた。
12:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/24(土) 00:25:35.28 ID:t1qdZ7WB0
西片「俺の…大事な友達が今度引っ越すんだ」
西片母「…それって高木さん?」
西片「ええ!?どうして分かるの!?」
13:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/24(土) 00:37:02.58 ID:t1qdZ7WB0
西片「引っ越しの手伝いに来てほしいって頼まれてるんだけど、どうしよう…」
西片母「どうしようって…」
西片母「うーん…あんたがどうしたいかは知らないけど…別れる時は、笑って送ってやりなさい」
14:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/24(土) 00:46:07.03 ID:t1qdZ7WB0
高木さん「…行けたら行く、か」
高木さん「西片、まだ体が良くないのかな…」
(♪♪♪)
15:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/24(土) 01:10:01.87 ID:t1qdZ7WB0
西片「よし…」
もう後戻りはできない。向き合うんだ、今の俺の気持ちと。
西片「高木さんのために…」
16:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/24(土) 01:22:39.90 ID:t1qdZ7WB0
≪日曜日≫
西片「…緊張するなぁ」
冷静になると、女の子、しかも高木さんの家に招待されるなんて…雑用だけど。
17:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/24(土) 01:35:27.52 ID:t1qdZ7WB0
いざ作業が始まると、高木さんの部屋でイベント発生って感じじゃなく、俺が手伝わされたのは力仕事ばかりだった。
高木さんのお父さんもお母さんも、男手が欲しかったから助かる、と喜んでくれた。ほぼ毎日の腕立て伏せでついた筋肉が有効活用されて、俺も嬉しくなった。
18:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/24(土) 01:41:16.15 ID:t1qdZ7WB0
西片「…」
高木さん「でね。…西片聞いてる?」
西片「あっ、うん!聞いてる聞いてる!」
19:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/24(土) 01:44:08.16 ID:t1qdZ7WB0
高木さん「西片、また、ぼーっとしてた」ツンツン
西片「ちょ、わき腹、わき腹はやめ…ははははは!!」
高木さん「えいえい」ツンツン
20:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/24(土) 01:56:33.09 ID:t1qdZ7WB0
高木さん「近いうちに、私に大切な宝物が現れるでしょうって」
西片「た、宝物?」
高木さん「そ、宝物」
21:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/24(土) 02:09:42.50 ID:t1qdZ7WB0
危ない危ない…高木さんのいつものペースに乱されて、大事な目的を忘れるところだった。
西片「た、高木さん!」
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