61: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/29(木) 00:12:57.49 ID:UdBPP3xP0
「わたしは……星が好き、です」
ぽつぽつと語り出す彼女から、微笑みは失せていた。
「月や、太陽や……草原や街や、人も動物も、好きです。好きなもの、たくさんあります。
だけど、星も太陽もみんな、アーニャのことを好きではない、ですね」
「それは、どうして?」
「わたしは、吹雪を呼びます。凍った雲、とても冷たくて……みんな、寒い思いをします。
空には蓋がされて、何も見えないです。アーニャがいたら、好きなものが曇ってしまいます」
「…………」
「それに、アーニャはポロヴィナ――半分、ハーフ、です。
ロシアのものでも、日本のものでも……人でも、グランパのような精霊でもない、ですね」
外の雪がまた深くなったように思う。
あたしは窓の外には一瞥もくれず、彼女の蒼い目を見ている。
「時々、どこに居ればいいか、わからなくなります。だから……悲しいです、少しだけ」
――あるいは、その虹彩に映る自分を見ている。
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