12: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/23(金) 01:03:24.58 ID:afcOeBV+0
凍り付いたような石畳の道を行き、門と同じくリモコンキーの玄関扉を開けた時、奥から声がした。
「ふふふ……とうとうここまで辿り着いたようだね……」
「この声は……?」
13: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/23(金) 01:04:47.33 ID:afcOeBV+0
「今お台所に立ってたんだ〜。二人ともランチまだでしょ?」
「んー、そいえば昨日からなんにも食べてない気がする」
「それはもうちょっと気にしろよ。俺もまだだけど」
14: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/23(金) 01:05:58.32 ID:afcOeBV+0
午前11時30分、外は暗い。分厚い雪雲が空を完全に覆い隠してしまっている。
冷えに冷えた体に、あつあつのラーメンは実際ありがたいものがあった。
スープまで一滴残らず飲み干したところで、話はいよいよ本題に移る。
15: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/23(金) 01:11:34.27 ID:afcOeBV+0
一ノ瀬邸には「開かずの部屋」がある。
寝室だ。
16: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/23(金) 01:12:47.40 ID:afcOeBV+0
開いた瞬間ものすごい冷気が廊下まで侵食した。
俺はその時、遊園地によくある「アイスワールド」だか「氷の世界」だかを思い出していた。
館内が極低温に保たれた、いわば極寒の体験型アトラクションで、よくミラーハウスとかと隣接していたりするアレ。
17: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/23(金) 01:13:33.99 ID:afcOeBV+0
「たまに起きて話すんだよね」
吐く息は雲のように白かった。
18: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/23(金) 01:19:53.39 ID:afcOeBV+0
【一ノ瀬志希かく語りき・そのに】
そこそこ前のことになるんだけど、あたし失踪しました。
19: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/23(金) 01:21:14.77 ID:afcOeBV+0
と、米屋さん(フレちゃん)が指し示す方の空は暗かった。
「向こうの方、雪降ってしるぶぷれー?」
20: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/23(金) 01:22:31.40 ID:afcOeBV+0
長い長い曲線道路の只中に、もう使われてなさげなボロっちいバス停があって。
白い女の子が、そこにぽつんと座っていた。
女の子は不可思議な大雪を当然のように受け容れながら、時刻表の剥がれた跡を見上げていた。
21: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/23(金) 01:23:22.54 ID:afcOeBV+0
ぼへぼへぼへぼへぼへ、とカブちゃんのエンジン音が近付くと女の子はびっくりしてた。
「はろはろぼんじゅ〜」
「あたし達とイケてるお薬キメないかーい」
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