71:名無しNIPPER[saga]
2018/03/21(水) 01:32:31.87 ID:EAF0Yir90
第3話
8月30日 AM6:30
「ねえ享…大丈夫なの?帰って来てから顔が真っ青なんだけど?」
「え…あぁ…大丈夫だって…」
翌朝、カイトは恋人の笛吹悦子と同棲しているマンションで朝食を取っていた。
だがカイトは用意された朝食の半分も食べれずにいた。理由は食欲がないからだ。
昨日、あれから自分がどうやってこのマンションに戻ってきたのか覚えていない。
この数日、早津の呪いを解くために奔走していたはずが…
いつの間にか自分が呪われていたとは…まさにミイラ取りがミイラにといった事態だ。
こうして呆然としているのも仕方ないのだが…
ちなみにカイトが右京と共に呪いのビデオの絵を見たのは8月26日のこと。
そして今日は30日、つまり猶予はあと3日しかない。
こうしてのんきに朝食を採っている間にも死亡時刻は刻一刻と迫っている。
一体どうすればいいのか?カイトの脳裏にはそんな考えばかりが過ぎっていた。
「ちょっと…本当に大丈夫なの?何かあったらちゃんと言いなさいよ。」
「何度も言わせんなって、俺は大丈夫だからさ。早く朝飯食おうぜ。」
こうして悦子に促されてようやく朝食を食べ始めるカイトだが…
頬張しく焼けたトーストに真っ赤なジャムを塗りつけようとした時だ。
こうして見ると血の色のような真っ赤だと思ったその時だ。
その瞬間、先日自分の目の前で死んだ小宮の死に顔を思い出してしまった。
まるで何か得体の知れないモノに怯える恐怖に引き攣った死に顔。
そして思った。
俺もあんな風に苦しんで死ぬのかな…嫌だ…あんな死に方は絶対に御免だ…
とにかく今は呪いのビデオに関する情報が欲しい。それはどんなモノだって構わなかった。
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