51:名無しNIPPER[saga]
2018/03/21(水) 01:11:27.64 ID:EAF0Yir90
「それから数日後に本土で貞子さんの遺体が発見されたので
それを引き取ってくれとの連絡が入りました。
養父はその遺骨を引き取りに行って…それから…遺骨を海に埋葬したらしいです。」
「なるほど、ですが海に埋葬したのですか?」
「それは…
海は貞子の生まれた場所だと養父は常々そう言っていましたから。
養父が死んだのは…その直後のことでした。」
今の話を聞いて確かに気の毒ではあると思われた。
ここまでの話なら確かに悲しいモノではあるが山村和恵が自殺するようなことはないはず。
それなのに何が彼女をそこまで追い詰めているのか?
「けど山村さんは急性心不全だと伺いましたよ。高齢だったし仕方ないのでは?」
「何も知らないくせに…
あなた…養父がどんな顔で死んでいたかわかりますか!
まるでこの世のモノとも思えない恐怖に怯えた死に顔をしていたのよ!?」
恐怖に怯えた死に顔…
それを聞いて右京とカイトは思わず先日亡くなった吉野と小宮の死を連想した。
あの死に顔を思えば呪いを信じてしまうのは無理もないことだ。
「それから暫くしてからよ…ウチの中に幽霊が出始めたわ…
志津子さんの幽霊よ…
あなたたちが入ったこの部屋…
泊まりに来るお客から気味の悪い女が髪を結いながらこっちを睨みつけるって…
私も…何度も見ているわ…それがもう15年以上も続いてるのよ…」
それが和江の自殺しようとした原因だった。
志津子の霊がまるで呪いでもかけたかのようにこの家に居着いている。
それは和江にとってまさに生き地獄に等しいことだ。
そんな和江に右京はあることを尋ねた。
「こんな時にですがひとつお聞きしたいことがあります。
あなたは昨日僕たちが訪れた時に
『あなたたちのような本土の人たちに何度も関わったばかりに』と仰いましたね。
『何度も』…つまり僕たちや浅川さんたちの他にも
山村親子について尋ねに来た人がいるんじゃないのですか?」
「ええ…子連れの若い女性が貞子さんについて訪ねてきました。
女性は確か『高野舞』と名乗ってましたけど。
そういえば彼女が来てから志津子さんの幽霊が出始めたような気が…」
「高野舞…ですか。彼女は何故子供を連れていたのでしょうかね?」
「そんなこと知りませんよ…いいえ…もう何も知りたくない…」
和江はそのまま俯いてしまい泣き出してしまった。
最早、これ以上の聞き込みは彼女にとっては酷だ。
それから暫くして帰ってきた旦那に彼女を託し右京たちは山村家を後にした。
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