29:名無しNIPPER[saga]
2018/03/21(水) 00:47:28.33 ID:EAF0Yir90
「これが…『山村貞子』の検視報告書です…」
続いて提示されたのは井戸で見つかった山村貞子の検死報告書。
だがそれを右京たちに差し出す職員は酷く顔色が悪かった。
とりあえず報告書に目を通してみるのだが…
するとそこには奇妙なことが記されていた。
「拝見します。これは…どういう事ですか…?」
「何かおかしな点でもあったんですか。」
「検視報告では山村貞子は井戸で死亡してから1年しか経過していないと記されています。
しかし発見者である高山竜司と浅川玲子の証言によれば
貞子が井戸に落とされたのは、その30年も前だということらしいです。」
確かにそれは奇妙なことだ。
15年前、浅川たちが山村貞子の遺体を発見した時には貞子はその1年前に死亡していた。
しかしその浅川たちが証言するには貞子は既に30年前に井戸に突き落とされたとのこと。
つまりこれは貞子が30年も井戸の中で生きていたということになる。
その話しを聞いてカイトは心の中でこう呟いた。
馬鹿な、ありえないと…
人間が井戸の中で30年も生き続けるなんて生物学上不可能なはず。
現実的に考えるなら何かが間違っていることになる。
それは浅川たちの証言かもしくは貞子の検視報告、
そのどちらかに誤りがあるということになるのだが…
「山村貞子が井戸の中で生きていたのは間違いありませんよ…」
そんなカイトの疑惑を遮るように職員はそんなことをボソリと呟いた。
見ると職員は先程よりも酷く怯えていた。
まるでかつて恐ろしくもおぞましい何かを見たようなそんな印象が漂っていた。
「詳しいお話を聞かせてもらえませんか。」
そんな職員に何故貞子が30年も井戸に居たのか尋ねる右京。
それから職員は恐らくは話したくはないだろうことについて
右京たちに当時の状況について語り始めた。
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