198:名無しNIPPER[saga]
2018/03/21(水) 11:20:36.34 ID:EAF0Yir90
「そんな…まだ…謎は解けてないのに…」
「いえ、そうでもありませんよ。真上を見上げてください。」
そう言われて真上を見上げるカイト。
見るとそこにはわずかながら丸い天井の光が差し込んでいた。
恐らく山村貞子がこの井戸の中で最後に見た光。
そしてその後、彼女はこの井戸で闇の中を30年も彷徨い続けていた。
「貞子は30年間、この苦しみを味わった。
なんとかこの生き地獄から抜け出そうと藻掻き苦しんでいた。
壁を見てください。彼女がここを出ようとした痕跡がありますよ。」
右京の言うように壁にはやたらと引っかき傷が付いていた。
そういえば静岡県警で井戸のことを調べた際にもこの事実を聞かされた。
貞子がこの世に復讐しようとした動機。
それはどんな手段を用いても井戸から這い出ること。
そのために貞子はあの呪いのビデオを生み出した。
外の世界で何の不自由もなく光に灯てられた自分たちへの憎しみを募らせて…
これこそが貞子の人々を殺し続けた動機。それがようやくハッキリとした。
「これでビデオに隠されたメッセージの謎はすべて解けました。
さあ、ここに居るのはわかっています。いい加減出てきたらどうですかッ!」
ここは貞子のテリトリーである井戸。この場所に貞子は間違いなく居るはず。
彼女は何があろうと自分たちを殺しに来る。
一体どこからやってくる?この狭い周囲を見渡すカイト。
するとこの井戸内部で変化が見られた。
足元を何かがズルズルと這うようなそんな気味の悪い感覚を受けた。
そしてその得体の知れない何かが集まり黒いモノで覆われた。
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