「私は同級生の乙倉悠貴に厄介な感情を抱いてしまった」
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2:名無しNIPPER[sage]
2018/03/11(日) 23:52:43.65 ID:whiyQo92o

「ゆーきって最近楽しそうだね」

 同級生の乙倉悠貴の楽しそうな笑顔を見ていてふと漏らした言葉を、彼女は聞き逃さず相変わらず嬉しそうに笑った。
 憎たらしいほどに可愛い笑顔で、同性に生まれてきたことを激しく後悔した。
 こんなにも可愛い子が目の前にいると、どうしたって自分の凡庸さが浮かび上がってくる。劣等感は否めない。
 ……いや、私が普通の、何も取り柄がない、乙倉悠貴と同級生であり友人であるという以外に価値のない人間であることはこの際どうでもいいか。
 劣等感なんてものを感じることを許されるようなレベルですらない、比較することすら烏滸がましい話だ。

「毎日楽しいよっ。学校も、部活も、お仕事も!」

 悠貴の跳ねるような声は、聞いていて耳障りが良い。嫌みのない素直な感情と言った感じで、裏を感じさせない。
 女子という生き物は往々にして嫌みを含み、言葉には常に含みを持たせた腹に一物を抱えた会話をするものだが、こと悠貴にはそれがないので、こちらとしても毒が抜けるというか、気が楽になる。
 彼女の言葉には嘘は無く、だから言っているとおりそのまま、学校も部活も仕事も楽しいのだろう。それはとても良いことだ。曲がりなりにもその一端になれているのであれば、凄く嬉しい。
 学校は悠貴がいなければつまらないし、部活なんてしていない、まして仕事なんてまだしたこともない私からすれば、乙倉悠貴という人間はもしかして聖人か何かではないかとすら感じる。



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