【オリ】「君は、自分が壊れてしまうほど人を好きになった事があるかい?」
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3:名無しNIPPER[sage]
2018/03/09(金) 12:04:36.31 ID:uzy05gP60
「望んでいるからと言って、狙って恋できるものでもないでしょう」

段々彼が何を言いたいのか解らなくなってきた。先程感じた焦りは勘違いだったのか。今の彼からは何の脅威も感じないし、彼の不敵な笑みは今や滑稽にすら映る。

「もちろん、狙ってするものではないさ。しかし、だ。事実は小説よりも奇なりと言うではないか。仮に君がその様な状況下に置かれたらどうするね?」

彼は意地悪く笑いながら尋ねてくる。組んだ手の隙間から吊り上がった口角が垣間見える。はぁ、と溜息なのか相槌なのか判らないような声が出る。

「……身を滅ぼさない程度に楽しみますよ」

「成る程、模範的な解答だ。だが、だからこそ君は恋により身を滅ぼすよ」

「そんなにも激情を催すような女性と出会うって言うんですか?」

半ばうんざりしながら彼の方を見ると、自信満々に頷いていた。彼の言っている事は本当なのだろうか、とやはり信じられずにいた。信じてみたい気もするが、自身が恋焦がれている姿なぞ想像出来ず、やはり現実味を帯びない、物語を読んだ後のような不思議な感覚に浸るのみだった。


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