4:亜人好き ◆HQmKQahCZs[saga]
2018/03/09(金) 12:23:42.08 ID:uvoRIYNt0
カツン
石が壁に跳ね返る音がした。
建物に囲まれたこの中庭に来るものは少ない。
いや一人だけだと言ってもいい。
数に囲まれたこの不気味な場所に入ってくるのは一人だけだ。
メイド「少年」
メイド服を着た少女。俺よりも年下のくせに俺よりも立派に生きている。
なぜだか知らないがときおり俺に食糧を届けてくれる。化粧の下にうっすらと見える頬の色を見たら自分だって満足に食べれてないだろうに。
その礼として簡単な勉学を教えてやってるが、釣り合っているようには思えない。恩返しでもするべきなのだろうが俺にはその術がこれしかない。
少年「今日の勉強か? すまないがろう石がなくなっちまってな」
メイド「いえ違います」
少年「なんだ。荷物運びか? でもお前の方が力は―――」
メイド「買われました」
その言葉に俺は一言「そうか」しか返せなかった。
誰かに買われた方がこんな場所にいるよりかはマシな生活が送れるかもしれない。他の隷属婦よりは器量があるはずだ。悪いようにはならないだろう。
少年「なかなか買われなかったもんな。やっと買われたか」
なんとか軽口をはきだすもメイドの表情はぴくりとも変わりゃしない。
メイド「価値なしと判断される前に買われて良かったです」
価値なしと判断された隷属婦は娼婦に落とされる。その前に買われたことは運が良かったのだろう。
ただ隷属婦が娼婦のように扱われないとは限らないが。
女の魅力を感じないメイドの体ならそうなることはないだろうが。いやそういうのが趣味の奴もいると聞いた。
………心配しても意味がない。メイドがどうなろうと知ったこっちゃない。
自分のためにだけ生きる。それが当たり前で、ルールなのだから。
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