155:亜人好き ◆HQmKQahCZs[saga]
2018/11/19(月) 13:18:32.98 ID:NCWYoFgi0
少年「それって、おかしいですよ」
ヒョウカ「何が、でしょうか」
何がおかしいのか。それが整理できない。
ヒョウカさんの言うことはもっともだ。校則で決められていることに違反したから罰せられる。当然のことで、否定はできない。
でも………実際そういうのは一面だけで捉えるもんじゃないだろ。
その過程が重要で。そいつの人となりが重要で。
なんというか、その
ヒョウカ「少年さんは、私が間違っていると?」
少年「いや、間違っているわけじゃなくて、その、処罰するほどのことでは」
ヒョウカ「危うく火事になるところでした」
少年「それはあの男のせいで」
ヒョウカ「そうですか。では少年さんは私に逆らうと?」
ヒョウカさんの口から冷気が漏れる。その瞳は涼やかにこちらを睨みつけている。
口に出さないが俺を責めている。逆らう俺を責めている。
でも
少年「………はい」
ヒョウカ「………」
人を切り殺せそうなほどの目線。おそらくさっきの刀よりもよっぽど切れ味はいいのだろう。年上だけど女性で、見た目は俺よりもか弱く見えて。
だけど凍り付いて動けない。その水色の瞳にねめつけられて動けない。
すっとヒョウカさんの手が上がり、そのまま俺の頬へあてられる。
産毛が凍り付く感覚。氷を当てられたよりもずっと冷たい。
暖かさなんてない。人のぬくもりとか優しさなんてものはない。
ただの悪意すらなくすべてを凍り付かせるような理に近い感覚。
ふぅ、とヒョウカさんの口から強く息が漏れた。
ヒョウカ「少年さん」
少年「………」
返事ができない。奥歯ががたがたなって口が思うように開かないし、呂律が回る気しないし。
ヒョウカ「………合格です」
そう言ってヒョウカさんは微かにほほ笑んだ。
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