ジャパニーズアベンジャーズ 特撮クロスオーバースピリッツ
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魔界岸
2018/03/11(日) 02:31:05.02 ID:Y8ZCGh7yO
それは何者かが、トニーに馬乗りになり、上半身を抉り取るとクチャクチャと音をたて食べている異様な光景。
「ヤメロォォォォォ!!」
甲平の声に驚いたのか、馬乗りになっていたものは後方にジャンプし、甲平を睨み付け、肉食獣のような声をあげ、甲平を威嚇している。
黒い体毛が全身を覆っており、角が二本、猛獣のような鋭い牙と長く斜めに尖った爪を持つ二足歩行の怪物。
それを見た人が鬼と思っても不思議ではない。
そんなおぞましい鬼の姿に目もくれず、無惨に倒れているトニーの遺体を甲平は抱き起こし、声をかける。
しかし目玉はくり貫かれ、内臓などの臓器も抉られむしり取られていたトニーに息はない。
「何だよこれ?……ウソだろ?……トニー!! しっかりしろトニー!! クレアと産まれてくる子はどうすんだよ!?……」
甲平の胸に悲しみ、そして自分が一度帰宅せずに一緒にいればと思うとやりきれない自責の念がこみあげてくる……。
何度も何度もゴメンと懺悔し、甲平の悲しみは激しい怒りへと変わり、人喰い鬼へと向けられた。
ワナワナと震える拳にコマンドボイサーを持ち、手をクロスさせ、鬼に突き出す。
「貴様ぁぁぁぁぁぁぁ!! よくもトニーをっ!……超重甲!!」
人間と一体化することで起動する外骨格生体甲冑であるネオインセクトアーマーが甲平の身体に装着されていく。
そしてその金色に輝くアーマーはカブトムシを模す。
ビーファイターカブトに変身を遂げ、すぐさま鬼への攻撃を開始。
右太股のホルスターに携行している多機能銃、インプットカードガンにカード(IC-01)を装鎮させる。
アタックビームを鬼に向けて連射するが、鬼は脚力が異常に発達しており、素早い動きでビームを上手くかわしている。
「なんて速さだ!?」
そして奇声と共に高くジャンプし急降下。
カブトのボディを鋭い爪が引き裂く。
そのまま地面に倒れたカブトに鬼は馬乗り状態になると串刺しにしようと頭部目掛けて爪を突き立てる。
カブトは左右に頭部を動かし、それを間一髪で何とか避けていて戦況は防戦一方だ。
しかしメルザードと戦い、これ以上強い敵を何度も打ち倒してきた経験があるカブトは冷静だった。
鬼が突き立てた右手を抑え、逆に右手で鬼の顔面に強烈なパンチを浴びせる。
「もう一丁! オラァッ!」
吹っ飛んだ鬼が立ち上がる前にトニーの分だと言わんばかりのさっき浴びせたパンチより倍の力を込めたパンチを浴びせるとピヨッた鬼を葬る為の武器をその手に出現させた。
「フィニッシュウェポン!」
両端に矛状の刃が付いた槍、カブトランサー。
特殊合金ネオインセクタイト製でその威力は厚さ50センチメートルの鉄板も切り裂く。
「ライナァァァァァブラストォォォォォォ!!」
イオンエネルギーを刃に流し込み、超振動させたカブトランサーを高速で振り回して真空状態でプラズマを集め相手を横に斬り倒すカブトの必殺技、ライナーブラスト。
難敵を何度も倒したこの技に友への想いを込め、カブトランサを一閃する。
この技を浴びたら例え人外だろうとひとたまりもない。
鬼は獣のような叫び声をあげながら土塊となり、散った。
それを確認すると、カブトは友の遺体に向かってゆっくりと歩き出す。
愛する夫の帰りをクレアはきっと待っているはずだ……彼女が絶望にうちひしがれる姿……そんな姿誰も見たくはない。
その時、カブトの背後に鋭い痛みが走った。
鬼には仲間がいたのだ。
すぐ様崩したバランスを立て直そうとしたその直後、ネオインセクトアーマーの制御が効かなくなってしまう。
「情けねぇ……もう限界かよ!……」
しかも強制的にネオインセクトアーマーが解除され、鬼の魔の手が無防備な甲平に迫る。
ネオインセクトアーマーを纏っていない甲平では常人を遥かに凌ぐ身体能力を持つ鬼に太刀打ちすることもできない。
万事休すかと思われたその時だった……。
「リボルクラッシュ!! とあっ!!」
発光した光の刃が鬼の腹部を貫き、甲平の目の前に現れる。
光の刃が引き抜かれた時、鬼が断末魔の雄叫びをあげながら土塊になり辺りに飛び散った。
甲平の命を救ったのは二本の触覚と真っ赤な複眼に黒いボディをしたバッタを模したような戦士。
そしてその戦士は誰かを捜すように辺りを二度、三度見渡したが誰もいないのを確認すると、甲平に手を差しのべる。
その手を甲平が掴むと目の前にいたのは見覚えのある人物で今日、コスモアカデミアの見学者の一人だ。
「あんた昼間の……何者なんだ?」
「ここで話すと長くなる 明日、もう一度コスモアカデミアに行く そこで話さないか?」
暗闇の中、出会った二人の戦士……果たしてこれは偶然か必然か。
そしてこの出会いは光と闇、正と悪が激しくぶつかり合う戦いの序章であることを二人の戦士は感じていたのだった。
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