5: ◆qW4ybjVXFw[saga]
2018/03/07(水) 17:18:07.33 ID:jj2cKc8qO
ホネミイタチ〜無いのは肉か、肉の色か〜
1827年7月、アルバード・ラクトマ教授率いる調査団がミャンマーのクレトナ山に立ち入った
ある地点に立ち止まって十日待ち、また次の地点で十日待ちを繰り返すという気の遠くなるような辛抱強さを見せて追っていたのは現地に住む人々の間で語られる民話に登場する動物の亡霊たちだ
彼らはその亡霊を不幸の兆しとし、また狩りすぎた動物の霊だと信じていた
そのために必要以上に狩りをすることはなく、常に敬意を表しながら狩りを行い、狩りの後は御霊を鎮めるための儀式を欠かさないという
今もたまに"動物霊群"の目撃例があり、そしてその外見が例外無く一致することから平行動物だと確信をもって山に立ち入った
そしてL地点と定められた地点で待つこと8日目、彼らは月光の下で蠢く影達を見た
なるほど、亡霊と言われるわけだ
彼らの第一印象はそれであった
その平行動物には肉がなく、骨格のみの四つ足で立ち、動く度に骨が擦れ、目の無い頭蓋骨で仲間を見、顎を噛み合わせては音無き音を出してコミュニケーションを取っていた
骨の隙間は完全に空いており、向こう側が濁ることなく見えている
彼らが骨の隙間に細い棒を通そうとすると(死という概念の無い平行動物に危機感は無く、大抵は容易く近付ける)塵となって霧散し、また少し離れたところに姿を現した
何度試しても骨と骨の隙間に棒を通すことはできず、必ず霧散してしまう
その現象は平行動物に触れた時に現れる現象であり、骨と骨の間には見えないだけで実体があるのではないかとアルバード教授は結論付けているが、平行動物は一様に濃い影色をしているため、透明の肉や膜などありえないと抗議する声もある
22Res/15.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20