14: ◆qW4ybjVXFw[saga]
2018/03/09(金) 17:43:25.68 ID:Tjeu/oUUO
オオグチオソイ〜無意味な狂暴性は何のために〜
あるところに怖いもの知らずな少年がいた
少年はどんな猛獣も恐れず大人しか許されない狩りに参加したがった
「僕はワニに負けません」「僕は大蛇を仕留められます」「僕は熊を狩ることができます」
少年がどんなに強くても掟では成人するまで狩りに出ることを禁じられています
ついに少年は掟を破り、制止する大人達を振り払ってヤドクガエルの毒を塗った槍と鉱石で作り上げた鉈を持って森へ深く入っていってしまいました
少年は強く、語った通りにワニに負けず、大蛇を絞め殺し、熊を狩り取りました
「やはり狩りなんて簡単だ」
そう慢心していた彼の前にグリュウタルが立ちふさがりました
少年はグリュウタルをも狩ろうとしましたがグリュウタルは一口で槍と鉈を食べてしまいました
そこまできてようやく目の前に危険が迫っていることに気がついた少年は逃げ出しましたがグリュウタルはその巨大な口で食べてしまおうと追いかけてきます
少年が「僕はまだ弱いのです。もう成人するまで狩りに出ません」と自分の未熟さを嘆き、マラトマに祈りを捧げるとグリュウタルは少年を食べる寸前に霧となって消えました
上記はアクリュムア族と名乗る部族に古くから伝わる民話だ
ベネゼエラにある森に棲む彼らはその民話を子供立ちに何度も語り、自然の怖さと狩りに関する掟を言い聞かせている
さてこの民話から見いだせる真実とは単なる教訓だけではない。グリュウタルと名付けられた怪物についてだ
1983年、ロシアのユーリ・ドモチェフスキー教授がそれを確かめに森の中へ入り見つけ出したのは巨大な口を持つ平行動物のだった
体の半分以上が口であり、無数の牙が恐ろしく生えている
四本の足の内後ろ足はコイルのように渦を巻いており、それをスプリングのように縮め、飛びかかる時に瞬発的な速度を出していた
そして教授は驚くべきものを見た
なんと、この平行動物は襲いかかってきたのだ
伝承の通りに、自分目掛けて巨大な口を開いて
つい護身用の猟銃を向けて発砲した
弾はその平行動物に当たり、霧散させた
教授がその後恐怖を克服し研究した結果、他の平行動物と同じように消滅現象が起こることを確認した
つまり、襲いかかってきても傷つけられることも食べられることもないのだ
逆に平行動物を傷つけることもできない
食べるためでもなく危険を排除することも必要ない。ならばこの平行動物は何のために襲いかかってくるのか
それは不明である
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