256: ◆sh9LE6ZD.AZt[saga]
2018/04/07(土) 01:50:55.16 ID:N85TKz6z0
B―「最近さ、夢を見るんだ」 ル「何を急に。いつも見ているではありませんか」
「それがちょっと不吉な内容で」
「?」
「r……誰かが居なくなる夢なんだ」
「なるほど。それで怖くて眠れないから一緒に寝てくれと」
「違……いや、違わないか。怖くなったのは事実だし」
「夢は夢でございます。何を恐れる必要が――」
「ルチアは、僕が誰かに殺されたらどうする?」
「息の根を止めに行きます。地の果てであろうと」
「喜んで良いのかな」
「泣いても良いですよ」
「それは流石に……」
「私の思いが嬉しくないんですか?」
「重すぎるのはちょっと」
「領主様の癖に生意気です」
「従者だろう? ルチアは」
「……まぁ、そうですね」
会話の途中、ルチアの表情は小さく変化し続けていた。
『殺されたら』という言葉には少ない笑みを消して
『重すぎるのは』という言葉には口を尖らせて
彼女の微細な変化に気付けるのはとても愉快な事だった。
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