13:名無しNIPPER[saga]
2018/03/01(木) 01:52:03.07 ID:RfngOxBK0
より優秀なPAIを持てば,他人よりも仕事ができると見なされる.
つまり,それを買うお金が全てなのだ.
それは今も昔も変わらない不変の事実.田舎から飛び出して,何か自分に合う仕事が見つかると希望に胸を膨らませていた僕への重い楔だ.
14:名無しNIPPER[saga]
2018/03/01(木) 16:05:48.58 ID:RfngOxBK0
僕は慌てて有り金をはたいて,PAIを買ったけれどあまり意味はなかった.
ピンからキリまであるPAI,学生上がりの僕が買えるものなんてたかが知れていた.
15:名無しNIPPER[saga]
2018/03/02(金) 03:33:35.27 ID:DuFYOFWS0
「引っ越すにしてもある程度お金が必要なんだ.僕の貯金はないにも等しいから,それだけは何とかしなくちゃ」
少なくとも,十数万円はいつもより稼がなければならない.
僕は短期間でできるだけ給料の高い仕事を検索するよう,PAIに告げた.
16:名無しNIPPER[saga]
2018/03/02(金) 03:39:04.49 ID:DuFYOFWS0
「セーフティ検索を外してくれ,それなら見つかるだろう」
「政府の認可が下りていない仕事が表示される可能性があります.よろしいですか?」
黙って頷くと,50件以上の仕事が表示される.
17:名無しNIPPER[saga]
2018/03/02(金) 03:44:39.12 ID:DuFYOFWS0
その中で,最も目を引いたのが,日給5万円の運送バイトである.
5万円,なにかの間違いではなかろうか.
さらに好都合なことに,IOTチップ(※1)は必要ないとある.
18:名無しNIPPER[saga]
2018/03/02(金) 03:49:15.43 ID:DuFYOFWS0
僕の目線に気が付いたPAIがすかさず注進した.
「十分ご承知のことだとは思いますが,その仕事は特に避けるべきです.運送にしては異常な給料ですし
IOTチップが必要ないのは自身の位置や行動を記録されたくないのでしょう」
19:名無しNIPPER[saga]
2018/03/02(金) 03:54:46.37 ID:DuFYOFWS0
先ほどから出ているIOTチップとは,人間の肉体に埋め込むための超小型ICチップを指す.
それを取り付けられた人間は,自身の健康状態から車の運転まで制御してくれる.
政府が無料で行っているサービスで,普及率は日本の全人口の過半数をすでに超えたらしい,
20:名無しNIPPER[sage]
2018/03/02(金) 03:55:15.44 ID:GfBvTrlA0
なんということでしょう
21:名無しNIPPER[saga]
2018/03/02(金) 04:03:03.02 ID:DuFYOFWS0
PAIを載せた座布団を部屋の隅へ押しやることでPAIの忠告を聞き流し,僕の心は決まった,
天井に取り付けられた紐を引っ張り,部屋の明かりを落とす.
「ユウマ,お金に目がくらんではいけません.犯罪に巻き込まれる恐れが...」
22:名無しNIPPER[saga]
2018/03/02(金) 04:07:14.00 ID:DuFYOFWS0
「....」
今度は黄色マークの警告を壁一杯に表示する.
器用だな.
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