5:名無しNIPPER
2018/02/28(水) 17:52:48.17 ID:9tv5hxKco
「どうしたもこうしたもありませんよ!」
「世間からはロリコンだクズ竜王だとなじられ」
「姉弟子からは奴隷のように扱われ」
「もう……こんな生活うんざりなんですよ!」
6:名無しNIPPER
2018/02/28(水) 17:55:20.53 ID:9tv5hxKco
「いいや、俺はもう限界です!」
演技にも拍車がかかってきた俺は台所に向かい、包丁を取り出し大げさに掲げた。
もちろん姉弟子に刃を向けるようなことはせず刃先はとりあえず俺に向いている。
7:名無しNIPPER
2018/02/28(水) 17:56:13.55 ID:9tv5hxKco
「なーんて、実はドッk」
「だめ! 八一!」
俺がドッキリとネタバラシをするよりも先に姉弟子が俺に衝突してきた。
8:名無しNIPPER
2018/02/28(水) 17:58:01.50 ID:9tv5hxKco
◇病院
幸い、姉弟子は命に別状はなかった。
そう、命には。
9:名無しNIPPER
2018/02/28(水) 17:59:24.79 ID:9tv5hxKco
「姉弟子……俺……俺っ……なんで……っ!」
なんであんなことをしてしまったんだ。
なんで夢を絶たれたのは俺じゃなかったんだ。
10:名無しNIPPER
2018/02/28(水) 18:00:30.27 ID:9tv5hxKco
「八一を追い詰めたのは……私だから……」
この期に及んで、彼女は何を言ってるんだろう。
病弱で、外で遊ぶことの出来なかった姉弟子が唯一出会えた生きる理由である将棋を。
11:名無しNIPPER
2018/02/28(水) 18:00:58.07 ID:9tv5hxKco
「なら、どうして何も言わないんですか……浪速の白雪姫を傷つけて、将棋を奪ったなんて知れればすぐに俺はバッシングを受けて俺に復讐出来るのに……」
それは考えうる限り最悪の結末。
だが俺が彼女から奪ったものの大きさに釣り合うものはそれしか考えられなかった。
12:名無しNIPPER
2018/02/28(水) 18:01:51.69 ID:9tv5hxKco
「私はね」
「将棋と同じくらい、八一が大切なの」
「どうせ知らなかったんでしょ?」
俺は今まで姉弟子の何を見てきたんだ……?
13:名無しNIPPER
2018/02/28(水) 18:02:45.34 ID:9tv5hxKco
俺は馬鹿だ。
大馬鹿だ。
ずっと俺の事を想っていてくれていた女の子の気持ちに気づかないだけじゃなく、彼女の大切なものまでも奪ってしまった。
14:名無しNIPPER
2018/02/28(水) 18:03:28.68 ID:9tv5hxKco
「俺の全部、姉弟子に捧げます」
「八一」
「絶対、逃がさないから」
15:名無しNIPPER
2018/02/28(水) 18:03:59.18 ID:9tv5hxKco
数年後
「どうかな、八一」
純白の衣装に身を包んだ姉弟子は、肌の透き通るような白さと相まってこの世に存在していることが奇跡にも見えて……
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