2:名無しNIPPER
2018/02/28(水) 17:49:54.54 ID:9tv5hxKco
「今両手がふさがってるんですが」
「知らない。取って」
「……」
3:名無しNIPPER
2018/02/28(水) 17:50:25.76 ID:9tv5hxKco
「八一」
「なんですか?」
「来週の日曜、私暇なんだよね」
4:名無しNIPPER
2018/02/28(水) 17:51:39.62 ID:9tv5hxKco
ここで一つ、いたずら心が芽生えた。
もし姉弟子の態度にキレたふりをしたら姉弟子はどんな反応をするんだろうか。
姉弟子の事だ。可愛い反応を見せてくれるに違いない。
5:名無しNIPPER
2018/02/28(水) 17:52:48.17 ID:9tv5hxKco
「どうしたもこうしたもありませんよ!」
「世間からはロリコンだクズ竜王だとなじられ」
「姉弟子からは奴隷のように扱われ」
「もう……こんな生活うんざりなんですよ!」
6:名無しNIPPER
2018/02/28(水) 17:55:20.53 ID:9tv5hxKco
「いいや、俺はもう限界です!」
演技にも拍車がかかってきた俺は台所に向かい、包丁を取り出し大げさに掲げた。
もちろん姉弟子に刃を向けるようなことはせず刃先はとりあえず俺に向いている。
7:名無しNIPPER
2018/02/28(水) 17:56:13.55 ID:9tv5hxKco
「なーんて、実はドッk」
「だめ! 八一!」
俺がドッキリとネタバラシをするよりも先に姉弟子が俺に衝突してきた。
8:名無しNIPPER
2018/02/28(水) 17:58:01.50 ID:9tv5hxKco
◇病院
幸い、姉弟子は命に別状はなかった。
そう、命には。
9:名無しNIPPER
2018/02/28(水) 17:59:24.79 ID:9tv5hxKco
「姉弟子……俺……俺っ……なんで……っ!」
なんであんなことをしてしまったんだ。
なんで夢を絶たれたのは俺じゃなかったんだ。
10:名無しNIPPER
2018/02/28(水) 18:00:30.27 ID:9tv5hxKco
「八一を追い詰めたのは……私だから……」
この期に及んで、彼女は何を言ってるんだろう。
病弱で、外で遊ぶことの出来なかった姉弟子が唯一出会えた生きる理由である将棋を。
11:名無しNIPPER
2018/02/28(水) 18:00:58.07 ID:9tv5hxKco
「なら、どうして何も言わないんですか……浪速の白雪姫を傷つけて、将棋を奪ったなんて知れればすぐに俺はバッシングを受けて俺に復讐出来るのに……」
それは考えうる限り最悪の結末。
だが俺が彼女から奪ったものの大きさに釣り合うものはそれしか考えられなかった。
12:名無しNIPPER
2018/02/28(水) 18:01:51.69 ID:9tv5hxKco
「私はね」
「将棋と同じくらい、八一が大切なの」
「どうせ知らなかったんでしょ?」
俺は今まで姉弟子の何を見てきたんだ……?
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