【ミリマスSS】千早「重なった鼓動と、新しいスタート」
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9: ◆uYNNmHkuwIgM
2018/02/25(日) 00:12:23.46 ID:6Xf+W2fS0

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765プロシアター
レッスンルーム
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千早「ごめんなさい、もう一回お願いします」

今日は最上さんと一緒のボーカルレッスン。本来なら、先輩である私が最上さんをリードしないといけないのに、ずっと私がNGを出し続けている。

どうしても自分のイメージする歌声と実際の歌声がマッチしない。この曲の持つ鋭さを歌い切るイメージはあるのに、歌声がそれについてこない。

以前の私ならきっと歌えていた鋭さ。私はそれを失ってしまったのだろうか?

記憶の中のあの血だらけの日々を掘り起こそうとしたところに、トレーナーさんが両手を叩いた音が響いた。

トレーナー「一旦休憩にしましょうか」

その声に私は一旦思考を遮断する。モヤモヤした思いをリセットしようと水を口にする。胃に落ちる冷たさが、私の身体を思考をゼロに戻してくれる。

ふっと一つ息を吐いたところで、隣から心配そうに最上さんが声をかけてくれた。

静香「あの、千早さん?大丈夫ですか?なんだか思いつめているようにみえますが...」

最上さんの表情は遠慮がちで、少し固かった。私が最上さんにこんな表情をさせているのだと思って、罪悪感が芽生える。その罪悪感を抑えるように、明るく努めて声を返す。

千早「ごめんなさい。私のせいであまりレッスンがすすまなくて」

最上さんはわわっと少し慌てたそぶりを見せて、言葉を返す。

静香「いえ、千早さんとレッスンができて私は嬉しいです。千早さんの歌はすごく綺麗で、すごく勉強になるなって」

静香「それなのに千早さんは納得がいかないみたいなので気になって、それで...」

最上さんが言葉を紡げないまま、静寂が流れる。あぁ、駄目だ。最上さんは私に憧れを抱いてくれていて、この曲を歌うことも楽しみにしてくれているのに、私はそれに応えることができていない。

こんなとき、どういう言葉をかければいいのだろう?亜美や真美みたいにおどけてみせたり、春香みたいにポジティブに笑えればいいのだろうけど、私にはそれはできそうにない。

私の抱えてる重みを伝えることも、何か違う気がした。これは私の問題だ。最上さんに伝えてしまっては、きっと彼女にもこの重みを背負わせてしまうことになる。

 


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