【氷菓IF】奉太郎「伊原摩耶花という女」-SS速報VIP

【氷菓IF】奉太郎「伊原摩耶花という女」

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81:名無しNIPPER
2018/02/25(日) 13:04:09.45 ID:Zb2RcIJm0
一歩、一歩。また一歩。近づくごとに胸のあたりが熱を持っていく。自分でも聞こえるくらいに鼓動が高鳴っている。

伏し目がちな伊原は、近づく俺に気づいていない。俺は二歩分ほど離れた距離で止まった。

さすがに気配を感じ取ったのか、すっと顔をあげる。

以下略 AAS

82:名無しNIPPER
2018/02/25(日) 13:05:05.52 ID:Zb2RcIJm0
「伊原」

のどから絞り出すように、そう言った。いつの間にか枯れたように乾いている唇。

昔のように、まやかと呼ぶことはできなかった。それが俺の弱さなのかもしれない。

以下略 AAS

83:名無しNIPPER
2018/02/25(日) 13:06:15.39 ID:Zb2RcIJm0
「…久しぶりね…」

そっけない態度。けれど俺は少しだけ安心した。

三年の時をえて交わした言葉。変化のきっかけになるだろうか。

以下略 AAS

84:名無しNIPPER
2018/02/25(日) 13:07:16.39 ID:Zb2RcIJm0
伊原の逸らされていた顔が急にこちらを向いた。はっと目を見開き驚いた様子の顔。

それはすぐに困惑の色に染まった。

「待って。待ってよ。なんで謝るの？」

以下略 AAS

85:名無しNIPPER
2018/02/25(日) 13:08:11.85 ID:Zb2RcIJm0
「帰らないの？」

「えっ？」

俺は予期していなかった言葉に間抜けな声を出してしまう。

以下略 AAS

86:名無しNIPPER[sage]
2018/02/26(月) 13:40:02.81 ID:47Yv5AwtO
続きはよ

87:名無しNIPPER
2018/03/02(金) 19:32:14.60 ID:+ARxXbTP0
「あたし迎え呼んだから」

よくよく見れば、薄いピンク色のスマホを手にしている。

「福部くんはどうしたのよ？」

以下略 AAS

88:名無しNIPPER
2018/03/02(金) 19:34:03.66 ID:+ARxXbTP0
「もう着いたみたい。あたし行くね」
　
抱えていた鞄を傘替わりに頭のうえに乗せる。校門の方に車を待たせてあるのだろう。

よし。と意を決した呟くと、校舎の外へ向かって歩き出した。が、急に立ち止まる。

以下略 AAS

89:名無しNIPPER
2018/03/02(金) 19:34:52.64 ID:+ARxXbTP0
伊原は片目をつむってこう言った「あれでチャラにしてあげる」
　
そういって、俺の返事も聞かずに去っていく。

元々小さな背がみるみる小さくなっていき、すぐに視界から消えた。

以下略 AAS

90:名無しNIPPER
2018/03/02(金) 19:35:52.89 ID:+ARxXbTP0
雨は少し弱まっていた。

こころなしか、分厚く空を覆っていた灰色の雲が少し晴れていて天候は少し穏やかさを取り戻している。

それはまるで今日俺が過ごした、激動の一日の終わりを告げているようでもあった。

以下略 AAS

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