【安価】京太郎「派遣執事見習い高校生?」いちご「その45じゃ」【咲-Saki-】
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184: ◆t2KkLw8Fc7QA[saga]
2018/12/22(土) 05:16:29.26 ID:X/AxWEVq0

〜二年目9月一週0日


 二年夏の大会を、優勝という最高の結果で。
 それも春夏連覇という快挙のおまけつきで達成した京太郎だが、派遣執事生活はまだ終わらなかった。

 それは周囲から望まれたことが理由でもあり、久の叶えた願いの期限が切れていないことも理由ではあったが――。
 最大の理由はやはり、京太郎がそれを望んだことになるだろう。

京太郎「――で、今月はここか……久々だな」

 見上げるのは歴史を感じられる大鳥居と大社。
 霧島の歴史と神域を保護する神代大社――ここが、京太郎が本日より世話になる場所だ。
 訪れるのは二度目で(滞在でなければさらに何度か)はあるが、この地域ではまさしく王族のように扱われる一族、組織の敷地内である。
 失礼があっては許されないと、明日より永水女子へ通うことが決まっている京太郎は、挨拶のために足を運んでいた。

霞「いらっしゃい、京太郎くん。迷わなかったかしら?」

京太郎「霞さん……お久しぶりです、ご心配ありがとうございます。わかりやすい道中でしたから、すぐに着けましたよ」

 それはなによりね、と微笑んだ霞に案内され、境内に足を踏み入れる。

京太郎(さすが……神秘的というか、気圧されるというか……外の空気とは全然違うな)

 ともすれば飲み込まれてしまいそうな空気に、キンと耳鳴りがした。
 同時に湧き上がる恐怖にも似た感情を、唾液とともにゴクリと飲み下す――と。
 その音が頭に響き、耳鳴りが掻き消されたとき。
 気がつくと目の前には、大きな社務所が現れていた。

霞「さ、上がってちょうだい。皆も待ち侘びている頃よ」

京太郎「お、お邪魔します……」

 本来ならば、社の事務を取り仕切っている方に挨拶するのが筋だろう。
 大社を取りまとめる宗家の当主、小蒔の父親に目通りすることは、さすがに叶わないはずだ。
 そこには、一高校生に過ぎないという京太郎の立場もあるが――それに加え、家柄という複雑な問題も絡んでいる。

 いまは縁遠くなってしまっているが、京太郎の父方の実家は、神道や神の力というものに深く関わりのある家系だった。
 その家は北九州において権勢を誇り、南九州に根付いている霧島神境、神代家とも密接な仲だったという。
 中でも、京太郎の曽祖父と小蒔の祖父という先代の当主同士は親友とも呼べる間柄であり、それぞれが溺愛する曾孫と孫――つまり京太郎と小蒔は、許嫁のような扱われ方をしていた。

 だが、ある事件をきっかけにそのすべては崩壊し、両家の関係は悪化とまではいかないが、同業他社という程度の関係に落ち着いてしまっている。
 京太郎と小蒔に至っては、その記憶まで封印されており――最近になって思いだすまで、二人は互いのことすら忘れていた。
 もっとも、思いだしたからといって、その頃の関係に戻れたわけではない。
 いまの二人の仲は、友達以上恋人未満やや友達寄り――という程度のもので、他の女子が割り込む隙は十二分以上に存在していた。

 閑話休題。

 ともあれ、そうした家の当主に挨拶することなど叶うはずもない京太郎は、別の方々に挨拶をすることになる。
 それは事務方の責任者でもなければ、観光責任者というわけでもないが、一個人と呼んでいい相手でもない。
 神域において絶大な力を持つとされる、六つの家――その跡取りである六女仙という、この地域ではやんごとない立場と言って差し支えない方々だ。
 もっとも、いまは家を離れている方もいるため、全員にお会いできるというわけではない。

 それでも、久々の再会というのはやはり、心躍るものになる。

京太郎「……まぁ、夏の大会で全員に会ってますけどね」

霞「ふふ、そう言わないで。みんなも気にしているのよ――優勝直後の巴ちゃんとの抱擁とか、ねぇ?」ゴッ

京太郎「」

霞「うふふふ。さ、奥でみんな待っているわ……感動の再会、楽しみねぇ?」

京太郎(帰りたい……)



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