【艦これ】秘書艦、気合! 入れて! 行きます!
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5:名無しNIPPER
2018/02/17(土) 14:33:39.04 ID:WQW7LuH70

「……ごめんなさい。もう大丈夫です」

「そうか……」

 比叡は、赤くなった目を擦りながら、ゆっくりと立ち上がる。

「先程はすまなかった。その、何だ……。私もあまり語学が達者な方では無いのでな。あの時、何と言えば思い付かず逃げてしまった」

「不味いなら不味いって言ってくれた方が、逃げられるよりマシです……」

「すまない……」

「……私、本当に怖かったんですよ」

「怖かった?」

 比叡の言葉に、提督は首を傾げる。

「朝からずっと失敗続きで、全然司令のお役に立てませんでしたから……。見捨てられるんじゃないかって……」

 そう言いながら、再び目に涙を溜める比叡。

 その比叡の頭に、提督は手を置いた。

「誰も見捨てる訳が無いだろう」

「あ……」

「私がずっと傍にいてやる。だから安心しろ」

「…………」

「さあ、もう遅い時間だ。自室に帰りなさい」

 はい……。そう答えて、比叡はボーッとしながら執務室を出た。

 そして帰り道を、比叡は考え込みながら歩く。

 先程……。というよりも今日、秘書業務をしている時から。自分の中で不思議な感情が芽生えているようだった。

 それが一体何なのか。比叡には分からなかった。

「んっ? Hai比叡。ボーっとしてどうしたノ?」

「あ、お姉様……」

 部屋の少し手前で、最愛の姉である金剛に声を掛けられる。

「お姉様、こんな時間にどうしたんですか?」

「今日は演習に出てて提督に会えなかったネー。だから提督に会ってTea Timeをしようと思ってネー」

「そう、ですか……」

 ズキリと、胸が痛んだ。そこで比叡は気付く。

 ああ、そうか……。私は……。

 いつも仏頂面で不器用で、でもどこまでも優しい司令の事が……。

「お姉様! ティータイムは私としましょう!」

「比叡? でも、私は提督と……。ちょっと、そんなに背中を押したら危ないネー!」

 比叡はグイグイ金剛の背中を押して、無理やり部屋に帰らせる。

「……お姉様」

「何? 比叡」

「私、お姉様と同じくらい大切な人、見つけました」

「……そう、それは良かったネー」

 笑顔で言う比叡に、金剛も笑って答える。



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