小日向美穂「丸出し尻尾と不思議なお菓子の夜」-SS速報VIP

小日向美穂「丸出し尻尾と不思議なお菓子の夜」

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29: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/02/06(火) 23:50:19.06 ID:0x2blYwD0

「お菓子は、幸せの為にあるんです」

　作業をするのは全部私。
　三人は、ほんのお手伝いをするのみ。

30: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/02/06(火) 23:51:25.03 ID:0x2blYwD0

　まず生地を練るところから。

　薄力粉に卵に、ココアパウダーやバター、お店自慢っていう特製牛乳を用意して……。

31: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/02/06(火) 23:52:30.19 ID:0x2blYwD0

　新しい甘やかな香りが、立派な厨房に満ちていきます。

　私の手際は決していいとは言えませんけど、それでも着実に作業は進んでいき。

32: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/02/06(火) 23:53:26.93 ID:0x2blYwD0

　～『錬金（つく）ってあそぼ』～

フレデリカ「ハスハスさん、今回は何作るの～？」

33: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/02/06(火) 23:54:19.89 ID:0x2blYwD0

「――――たまえ」

「ん……うぅ……？」

34: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/02/06(火) 23:57:50.00 ID:0x2blYwD0

「どうかしたのかな？　魔女でも見たような顔をして」

　ある意味魔女より、神より悪魔より驚きの相手でした。

35: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/02/07(水) 00:33:40.20 ID:wo7X6wcI0

　これは、理想の自分なんだ。
　一目でそうわかりました。

　オトナな表情、物怖じしない態度。シックな衣装も完璧に着こなして。

36: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/02/07(水) 00:35:03.22 ID:wo7X6wcI0

「本当？　ほんとに私、あなたみたいにオトナになれる？」
「演じる仕事が夢なんだろう？　ならばこれも、君が被る仮面の一枚になれる筈だよ」

　くるん、かつっ。

37: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/02/07(水) 00:36:48.68 ID:wo7X6wcI0

「……どういうこと？」
「『選択』の話をしているのさ」

　くるん、かつっ。

38: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/02/07(水) 00:38:20.81 ID:wo7X6wcI0

「人生は無限の問題集だ。甘い問いも苦い問いもあって、しかも正答など存在しない」

「どの答えにも等しく価値がある。君がどちらの味を噛み締めるかという違いがあるだけで」

39: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/02/07(水) 00:39:59.34 ID:wo7X6wcI0

　彼女が言う「甘いか苦いか」の意味を、私はうっすら理解してきました。
　その答え合わせをするように、「理想の小日向美穂」はお芝居のように朗々と語ります。

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