5:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/03(土) 00:18:54.47 ID:vBuyWfgt0
屋上の扉を開くと、そこは銀世界だった。
昨晩降った雪が積もり、アスファルトとコンクリートの街を等しく白に塗りつぶしている。
「間に合ったか……」
東の空が、微かに紫から白へのグラデーションを浮かび上がらせ始めていた。微睡みの中にいる全ての者達へ、暖かな静謐のモーニングコールが響き渡ってゆく。
普段は事務所かその隣のビルの屋上へ行くことが多く、この女子寮の屋上へと入ったのは久々のことだが、距離的にそう大きな差がある訳でもなく、代わり映えのしない朝の風景が夜を追いやって天を染める。
「『冬はつとめて』、といったところかな」
千の昔から、或いはそれ以上の古くから、連綿と続いてきた人類の営み。その新たな1ページの執筆が始まるこの瞬間は、嫌いではない。
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