バットマン「グランド……オーダー?」 マシュ「その2です」
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249: ◆GmHi5G5d.E[saga]
2018/02/27(火) 01:39:35.42 ID:UH/q//8r0

(そうだ。何を躊躇っていた、お前は)


 彼は目を見開き、消える彼女に背を向けて板を蹴った。波打つ海がどんどん近付き……その表面を突き破り、ブルースは飛び込んだ。


 沈むマシュから、気泡のしるべが昇ってくる。彼は強く水を掻き、深く、深く潜ってゆく。


 海の中はまっさらな闇を思わせた。ずっと上で響く潮の音。対して、水深が深くなればなるほど音は遠のき、光は消えてゆく。マシュが、大きな闇へと飲まれて行く。


(((大丈夫、闇の中には何も居ない)))

(違う)

 ブルースは過去の残響を否定する。違う。闇の中には恐ろしい魔物が棲んでいる。それは今日まで、幼いブルースの心を捕えたまま、ずっと離していなかった。

(((おとう、さん……おかあさん……)))

(今度こそ)


 清姫の涙がよみがえる。アルフレッドの死に顔が浮かび上がる。トーマスが膝から崩れ落ち、マーサが泣きながら倒れ伏すのが見える。頭を振り、幻覚を追い出す。

 自分の中にあるのは、両親を殺した弾丸だけではないハズだ。計算だけではないハズだ。疑心だけではないハズだ。不確定な自分を、信じろ。


 マシュが目を開き、何かを叫んでいる。気泡が大きく広がり、それを突き抜けてブルースが潜る。


(手を伸ばせ)

 どちらへ向けた言葉だったか。ブルースの腕が、マシュをとらえた。





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