モバP「アイドルにサスペンスドラマの犯人役のオファーだって!?」
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53: ◆P4gW9oKees
2018/02/05(月) 00:53:29.52 ID:T9EMtrbA0

私には、お付き合いをしていた男性がいました。
そう、過去形なんです。その方はもうこの世にはいません。

彼はお料理がとても上手で、今まで「お料理が得意です」と言っていた私よりも上手でした。
将来は、プロの料理人になるのが夢だと言っていました。
中でも、得意料理はハンバーグ。
ひと月に1度、私と彼と一緒にハンバーグを作って食べるのが楽しみでした。

あの日も、ハンバーグを料理部のみんなにふるまうんだと言っていました。

私と彼と、そして「あの人たち」は高校の料理部に所属していました。
料理部では、定期的に部活内で料理をふるまって評価をし合う、ということが恒例になっていて、その日は私と彼の番だったんです。
そんな日に私は風邪をひいてしまって学校も部活も休んでいたので、彼だけが料理を作ることになったんです。

でも、この日、ちょっとした事件が起こったんです。
彼の作ったハンバーグを食べた料理部の女子生徒2人が、食あたりを起こして救急車で運ばれる騒ぎになったんです。

詳しい原因はわかっていませんでしたが、暴食をしていたわけでも、変な食べ合わせもしていなかったことから、彼が作ったハンバーグが原因だろうということになりました。
その結果、料理部は一定期間の部活停止。

衛生管理が不十分だったのではないか。火は充分に通したか。など多くの批判を彼は受けていました。
彼は料理人を目指していたくらいでしたから、そんな初歩的なミスをするはずがないと、私は信じていました。

でも、心無い批判は彼の心をズタズタに引き裂いていきました。
彼はその日以来、自信をなくして料理もしなくなってしまいました。
私の作った料理も、食べてくれなくなってしまいました。

そして、それから数か月もしないうちに、彼は包丁で手首を切って亡くなりました。

遺書には、女子生徒2人への謝罪と後悔の気持ちが書いてあったそうです。
そしてそれとは別に私個人に宛てられた手紙。
そこには、私への謝罪と、「もしその気があるなら料理人を目指してほしい」ということが書いてありました。
私はその手紙を読んで何度泣いたか覚えていません。

私は、料理人になることは決められませんでしたが、せめて彼に負けないくらいお料理の腕を磨こうと、料理部を続けることにしました。


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