モバP「アイドルにサスペンスドラマの犯人役のオファーだって!?」
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30: ◆P4gW9oKees
2018/01/30(火) 00:50:11.87 ID:8H69sTV40
「ぁ…な、なん…でっ…」

なんで?
「何故、自分を殺害しようとするのか」
彼女はそう問うてきました。

それを聞かれた時、一瞬、自分の手から力が抜けるのがわかりました。

何故、彼女でなければならなかったのか?

そこに明確な理由は恐らくありません。
しかし、それらしい理由は考えてありました。

数日前、私はいつものように本を読んでいました。
テーブルの上には数冊の本が積んであり、コーヒーカップも置いてありました。
そんな時、彼女がやってきました。
いつものように大きな声で挨拶をしてから給湯室へ向かうと、冷蔵庫の中からペットボトルの麦茶を取り出してコップに注ぐとひと息で飲み干しました。
そして彼女はその2リットルのペットボトルをテーブルの上に勢いよくドンと置いたのです。
そう、私が本とコーヒーカップを乗せていたのと同じテーブルです。
流石にすぐ側ではありませんが、その振動がこちらの方にも伝わったのでしょう。
積んであった本はバランスを保てず、コーヒーカップを巻き込みながら崩れました。
私も彼女も慌てて本を離しますが、すでに手遅れ。
数冊の本にはしっかりとコーヒーの染みがついてしまいました。

…えぇ、これだけのできごとです。
その本の中に、少し値が張り、思い入れのある本があったというだけのことです。

もちろん彼女に悪意がなかったこともわかっています。
誠心誠意謝罪をしてくれましたし、弁償するとまで言ってくれました。
無造作にテーブルに本を積んでいた私にも責任はあります。
正直に言って、この程度で殺人につながるなど、逆恨みもいいところです。

しかし小説ではない、現実の殺人の動機など、この程度のものばかりでしょう。

さらに今回はわけが違いました。
殺人に対しての好奇心が膨れ上がっているところに、およそ動機となりうる出来事が起きてしまったのです。

動機がなければ、いくら欲求が強くとも殺人など犯せません。

私は、この時に感じた些細な怒りや悲しみを育て上げ、殺意へと成長させていきました。

私は、その殺意を思い出しながら、再び両手に力を込めます。

それから数秒もすると、彼女は動かなくなりました。
しかし油断はできません。人は首を絞められると呼吸が封じられるため、まず意識を失います。
そしてその後首を絞め続けることで完全に窒息死します。

私は動かなくなった彼女の脈を確認します。

彼女の手首から手を離した私はひとまず安堵しました。



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