26: ◆xjSC8AOvWI[saga sage]
2018/02/14(水) 22:43:37.20 ID:qh3ZdBlW0
帰り道、目に留まった景色をカメラに収めていく。
まだ少し雪が残っている小川のほとり。少し寂しそうな風景が詫びと情緒を感じさせた。
QB「よし、アップして……と」
わくわくしながら反応を待つ。
しかしみんなとは感性がズレてるのか、自分の好みで撮った写真はあまり話題にはならない。
その代わりに、そういうのを好んで毎回反応をくれる人も中には居た。
……僕が撮るのはその辺の風景か人物だけだった。
僕もこの星の人間と同じ姿だったら、もっといろんなことを楽しめただろうか?
『特別になりたい』欲求とは裏腹に、同時に僕は『自分と同じ』仲間も求めていた。
本当は、インキュベーターがみんな僕と同じように感情を持ってくれていたら一番いいのに。
人間を貶めて利用するのを当然とする、現状とのギャップが腹立たしい。
QB「……まあ、今更帰りたいとは思わないけどね。動画だけじゃなくて、マミを誘って落語も見に行ってみたいし」
QB「僕の今帰る場所は一つだけだ」
母性には、探してみれば同じ患者たちが集まる場所もあるにはある。
いつかそういう人たちが忌み嫌われないような星になればいいのに、と切に願った。
―END―
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