2:名無しNIPPER[saga]
2018/01/18(木) 21:10:45.46 ID:3iKMEwHU0
奈緒さんの背中をさすっているときだった。
「昔を思い出すなぁ」
しみじみとした声。なにがですか、と聞き返すも、返答は便器への盛大な嘔吐。冬の静かな夜、吐瀉物をぶちまける音がトイレに響く。
――あぁ、大人ってもうちょっとマシな生き物だと思っていたのになぁ、と一人ごちるも、中々責める気にはなれない。
吐いている時は本当につらいと聞くし。
こういう時くらい優しくしよう、という気分になるのは、私が割とお酒を飲むようになったからだろうか。
手を伸ばし、からからとトイレットペーパーを巻き取る。
奈緒さんの口を拭って、便器へぽい。
吐瀉物ごと水を流した。これで3回目だ。つまらないと、いいけど。
「……だいぶ、楽になったわ」
奈緒さんの顔は棺桶から這い出てきたみたいに真っ白だ。
長い髪をそのまま後ろに流しているから、古典的な幽霊にもみえる。
とはいえ、これでも顔色はずいぶんマシになった。
「そうですか。その言葉、もう四回くらい聞いてますけど」
「徐々にな、よくなっているねん」
そうかもしれない。
げーしそう、
吐きたい、
もうアルコールは飲まへん、
3つの言葉しか喋れなくなっていたのだから、状況は好転しつつある。
タクシーに乗っているときは、もう、色々と凄かったので。
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