18: ◆5AkoLefT7E[saga]
2018/01/12(金) 23:50:56.37 ID:rvz5aNSu0
「いや、というかそれ……笑って……ええ……?」
「な、なんでちょっと引いてるの」
「生まれてから楽しいことが一切なかったのか……?」
「そんなことないけど!」
冗談だと思うけど、ちょっとムッとしちゃった。
でも、プロデューサーさんが悪いと思う、こればかりは。
「ごめんごめん。じゃあ裕美、笑顔ってなんだ?」
「どれだけ私を馬鹿にするの」
「うおっ、そんなに信頼ないのか俺」
「……」
「ここで黙られるのはキツイなあ……まあいいや。笑顔ってのはな、”他の人も笑顔にする魔法”だ」
「魔法……?」
想像の何倍も、なんというか……メルヘンな答えが返ってきたことにびっくり。プロデューサーさんは眉ひとつ動かさないで言っているのだから、冗談じゃないみたい。
「そうだ、魔法。だから、俺が笑ってもそれは笑顔にはならない。だって、目の前の裕美も笑わせられないんだから」
「……」
「まだ出来なくても、時間がかかってもいい。だって、魔法はそんなにすぐに身につかないからな」
「そう……なんだ……」
多分、プロデューサーさんは励ましてくれたんだと思う。
上手く笑顔が出来なくても、焦らないように。
また私が、アイドルなんて向いてないって自己嫌悪にならないように。
「優しいんだね」
「怖いよりはいいだろ?」
「私のこと?」
「……筋金入りだな」
「……その」
「ん?」
「その魔法、私でも使えるようになるのかな」
「もちろん。絶対に」
「……ありがとう」
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