結城友奈「これは勇者たちの物語」
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21:名無しNIPPER[saga]
2018/01/13(土) 19:27:51.00 ID:gZU5fBxgo

もう一人の郡千景「……自分がもう一人居るなんてほんと忌々しいことだわ。その上、私のドッペルゲンガーの手足になって戦わされるなんて不快の極みね」

もう一人高嶋友奈「もう、ぐんちゃんは素直じゃないんだから……。こっちに居るぐんちゃんのこと、本当は嫌いじゃないよね?」

もう一人の千景「……いくら高嶋さんでもその言葉は聞き捨てならないわ」

もう一人の友奈「前に言っていたどーぞくけんおってやつなのかな、もしかして? でもね、ぐんちゃん。私はここに来ることができてとっても感謝しているんだよ? さっきも言ったけど、また皆と……ぐんちゃんに会えたんだから」

もう一人の千景「……」

もう一人の千景「……高嶋さんともう一度会えた、そのことだけは……そうね、感謝しなくもないわよ……」ハァッ! ─ズバッ!

もう一人の高嶋友奈「……うん。本物の私たちは最期に会うことさえ出来なかったものね」ヤァーッ!

千景(言葉を交わしながら、私と高嶋さんに瓜二つの二人が、拳と大鎌で密集するバーテックスたちを殲滅していく。……いいえ、乃木園子の言った枝分かれした可能性論がもしも正しいのだとしたら、どちらも私たち自身と言えるのかもしれないわね……)

もう一人の千景「──郡千景」

もう一人の千景「私たちを盗み見ているのでしょう? そう言う下劣なところが、私は生まれた時から嫌いなのよ。だから覚えておきなさい。私はあなたのことが大嫌いよ」

千景『……奇遇ね。私も同じ容姿をしたあなたが大嫌い。これで東郷さんに次ぐ二人目よ、光栄に思いなさい』

千景(距離は離れていたけれど、私はもう一人の郡千景と会話をしていた。これも行使者特権の一つだ)

もう一人の千景「……心の中で自分と同じ声を別人から聞くなんて、気持ち悪いことこの上ないわね」

千景『それに関しても同意見ね』

もう一人の友奈「ぐんちゃんがお世話になっています! 高嶋友奈です! ……あれ? でも、どっちもぐんちゃんだよね? あ、あれ……? 私、ぐんちゃんのことは何て呼べば良いのかな?」

千景・もう一人の千景『ぐんで構わないわ』

千景・もう一人の千景『……ちっ……』

もう一人の友奈「わっ、凄い! ぐんちゃんの声が二人分重なったよ!」

千景『……あなたたち二人のことはもう確認する必要さえないわね。そちらの高嶋さん、私の出来損ないのことを後はよろしくお願いするわ』

もう一人の友奈「うん! こっちのぐんちゃんのことは任せてね。もう一人のぐんちゃん!」

もう一人の千景「た、高嶋さん……。あなた、高嶋さんをダシに使って恥ずかしくないの?」ギロッ

千景『うるさいわね。同じ私なら自分の仕事を黙して実行なさい。……健闘だけは祈ってあげなくもないわ』

もう一人の千景「口の減らない奴! ……私と高嶋さんがここに居る意味を無駄にすることは絶対に許さない。肝に銘じておきなさい」

千景『……当然でしょ。いい加減視点を移すわよ。……精々頑張りなさい』

もう一人千景「ふん……」

千景(もう一人の自分の不服そうな音を最後に聞き、私は視点を最後の一組へと向ける。……口が減らないのはどっちよ?)

千景「……」

千景(それでもドッペルゲンガーを相手にして自分の口元が僅かに緩んでしまうのだから、ほんと私も変わったものよね……)






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