結城友奈「これは勇者たちの物語」
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2:名無しNIPPER[saga]
2018/01/12(金) 22:13:46.49 ID:QHT5/WDno

*大赦本部前

高嶋友奈「風先輩を止められるならこれくらい! だって私は勇者だから」

友奈(それはどこかで聞いた言葉で、結城ちゃんなら言っただろう台詞。……私は勇気ある人じゃないけど、この世界で二年を過ごした結城友奈であることにも間違いないから、自然とその言葉が出てきたのだと思う)

犬吠埼風「ゆう、な……」

友奈(『結城ちゃんは勇者である』で言うと確か九話の場面。風先輩の姿がとても心に刺さって、泣いてしまったことを辛うじて私は覚えている。あの場面と同じ光景の今、目の前で風先輩は私の名前を小さく呟いてくれた。そして──)

三ノ輪銀「……!」

三好夏凜「……ぁ……」

ギュッ

犬吠埼樹「……」

風「……いつき……」

友奈(樹ちゃんが風先輩の背中を抱きしめる。泣きそうな顔で、だけど泣いたりなんかしないで、強く強く、風先輩を抱きしめていた)

風「あ、あぁ……っ……ああぁ……ッ」

友奈(……風先輩は泣き崩れてしまったけれど……大丈夫。今はそばに樹ちゃんが居る)

風「……ごめん……ごめん、皆……」

友奈(私と夏凜ちゃんと銀ちゃんは、ただ静かに風先輩と樹ちゃんのやり取りを見つめている。樹ちゃんが風先輩にスマホの画面を見せているところだった)

樹『私達の戦いは終わったの。もうこれ以上、失うことはないから』

風「でも! 私が勇者部なんて作らなければ──!」

樹「……」フルフル

友奈(樹ちゃんはポケットから一枚の紙を、私たちが書いたあの時の寄せ書きを……取り出して、ペンを走らせる。……いつも大事に持っていてくれたんだね……)

樹『勇者部のみんなと出会わなかったら、きっと歌いたいって夢も持てなかった。勇者部に入って本当によかったよ』

友奈(……うん。そうだね、樹ちゃん)

友奈「風先輩、私も同じです。だから、勇者部を作らなければ、なんて言わないで下さい」

風「……っ……」

風「……あぁ……あぁぁあぁぁぁ……っ!」

友奈(風先輩の握った拳はどこにもぶつけられることはなくて、風先輩の全てを樹ちゃんの小さい身体が包み込み、決して離さないように抱きしめていた)

友奈(……確か九話のタイトルは"心の痛みが分かる人"でアマドコロの花言葉。今の樹ちゃんにこそ相応しい植物の名前、だったんだね……)






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