502: ◆7Ub330dMyM[saga]
2018/02/05(月) 11:46:28.81 ID:fQ/B2oVuO
【アデル城 玉座】
大臣「また夜分遅くにこんなところで。歳も歳なんですからご自愛くださいといつも申しておりますにた
王様「ふぉっふぉっ。また、あの時の夢を見てしもうての。ワインを飲み気を紛らわせておったところじゃ」
大臣「もうお忘れなさい。あれは、あの“事件”は仕方ないことだったのです」
王様「悔やんでも悔やみきれなんだ。あれから……勇者は、両親に、ワシに……いや、人間に対する目つきが変わってしまった」
大臣「普段おちゃらけてますのは、その反動でしょうな」
王様「理解者は少ないがおる。アイーダの酒場の店主、城内の兵士達の一部。だが、ワシも含めて、目の奥に宿った恐怖は、ぬぐいされるものではない」
大臣「……」
王様「恥ずべきことよ。王が、たった一人の民に恐怖し持て余すとは。勇者とはなにか? そう聞かれた時になんと答える?」
大臣「人類の代表であり、女神の代弁者です」
王様「違う、違うのだ。勇者とは“孤高”であり“孤独”である。てっぺんのいただきに立つ瀬に見る景色は、そこに立たなければわからぬ」
大臣「陛下のような……?」
王様「王とはいうなれば、民達の親である。ワシもワシで孤独を感じることに否定はしない。勇者の抱えるものは、それよりもっと、異質なのだ」
大臣「人は、誰しもが心に孤独を感じて生きております。繊細であればあるほど過敏になりましょうが」
王様「だからじゃよ。あの子に対して普通の子と同じように接するべきじゃった。勇者として利用するのではなく」
大臣「……」
王様「(ワシは信じる。おぬしの帰るべき場所を用意して待っておるぞ。勇者よ)」
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