6: ◆Kg/mN/l4wC1M
2018/01/05(金) 19:08:13.89 ID:dxik6X9do
*****
その劇場はとても大きなものだった。
何千もの客席がすべて埋め尽くされて、大勢の観客たちは舞台の上で広がる物語と人物に思いを馳せる。
『大丈夫。あなたは強いから───。』
『……そうね。』
まただ。胸のどこかに引っかかるような感覚。
私は───。そんな思いを隠して、笑ってみせた。
『うんうん、やっぱりあなたは笑っている方が素敵だ。明日のオーディション応援しているよ。それじゃ。』
『ええ、ありがとう。……じゃあね。』
こんなこと、今までだってなかったのに。
私の中に浮かんだ言葉は言えなくて。
メイクの裏で何かが滲んでいくような、そんな気がした。
*****
17Res/7.14 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20