9: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2017/12/30(土) 06:12:17.80 ID:amdXqONW0
※ ※ ※
「はぁ……」
ママにただいまと挨拶して、部屋に戻ります。
家の中は暖房が効いていて暖かいけれど、それよりも私の頬の方がずっと熱を持っている。
「プロデューサーさん……」
顔が真っ赤になった、あの人のことを考える。
部屋の鏡を見ると、私の顔も真っ赤なまま。
プロデューサーさんとおそろいだ。
そう考えるとますます顔が熱くなる。
プロデューサーさんも今の私と同じぐらい恥ずかしかったのだろうか。
だとすれば――今の私と同じぐらい、恥ずかしいと感じている相手のことを考えているのだろうか。
もし、そうだとすれば――
「むずがゆい……」
体に力が入らなくなって、ベットに仰向けに倒れこむ。
目をつむって思い出すのは、大きな体を恥ずかしそうに畳み込んで、真っ赤に染まった顔を少しでも私に見せまいとするプロデューサーさんの姿。
「プロデューサーさん……可愛かったなぁ」
あんなに恥ずかしがっちゃうだなんて。
「私にキスされたと思い込んでいたこと、あんなふうに恥ずかしがるだなんて……」
あんな姿を見せちゃうだなんて、困った人だ。
私だから良いものを、他の女性にあんな艶姿を見せたらどうなってたことか。
私だって我慢できなくて、運転席にうずくまるプロデューサーさんに、今度こそ本当にキスしそうになるぐらいだった。
でも、これで良かった。
仮眠をとるプロデューサーさんにキスしたいという衝動に耐えて、正解だった。
唇では加減が難しい。
眠りに落ちているプロデューサーさんがかろうじて目覚める程度の強さに調整するには、唾液で湿らせた指が適当だった。
事はうまく運び、プロデューサーさんは立ち去る直前の私のわずかな姿しかとらえることができなかった。
重要だったのは、確信を抱かせないこと。
寝ている間に頬に何をされたのか。
何かをした人物は誰なのか。
この二点。
最初プロデューサーさんは頬にキスをされたと思っていましたが、誰であるかは確信に至りませんでした。
今は私であることはわかっていますが、何をされたのかわからない状態です。
今も私のことで頭がいっぱいのはずです。
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