28: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2017/12/29(金) 13:33:45.66 ID:owrWAVvd0
それらの出来事を頭のメモ帳にしっかり書き込んでいると、隣から視線を感じた。
乃々ちゃんはまゆの左手首をじっと見ている。いえ、もっと正確にいうならば。
「このリボンがどうかしましたか?」
「すごくかわいいって思ってたんですけど……まゆさん、そのリボンいっつもつけてるのはなんでだろうって……すみません」
「もうっ。謝ることじゃないですよぉ」
もうなんどもなんども事務所のみんなにされてきた質問で、答えているのはいっつも同じ言葉。
「これはまゆがはじめてお仕事をしたときに、がんばったご褒美だ、ってプロデューサーさんからもらったものなんです」
もう二週間近く見ていないあの優しい笑顔が頭をよぎった。
「プロデューサーさんといつまでも一緒にいられますように。この赤い糸でずっと結ばれますようにって。まゆは、このリボンにそう願掛けして、いつも身に着けるようにしているの」
だからこれはとっても大切な、私の宝物。
「……ちひろさんから聞きました。元々はモデルさんだったのをやめてアイドルになったって。……まゆさんは……プロデューサーさんのために、アイドルになったんですか?」
「そうですよ」
即答、迷うことなく言葉がでた。
「だってプロデューサーさんはまゆの運命の人なんですもの。プロデューサーさんがアイドルのプロデューサーだったから、まゆはアイドルになったんです」
「……」
びっくりしたように目をぱちくりさせている乃々ちゃんがどう思ったのかはわからない。
時計を見ると一時を回っていた。ベンチから腰を上げて手を差し出す。
「さあ、まだデートは終わってませんよ。次はどこに行きましょうか?」
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