3: ◆Spitz/dbKQ[saga]
2017/12/27(水) 07:01:18.32 ID:p2Z72T7I0
比較的大型の駅の、へんてこなモニュメントの前。
いつものように、彼女はその小さな体を丸めて立っていた。
「待った?」
「いえ、さっき来たばかりですから」
そう言いながら、手をすり合わせるのをやめた彼女の耳は真っ赤だった。
ういやつめ。きっと、仕事が終わってから約束の時間までずっとここにいたのだろう。
「ほら、お詫びのしるし」
そう言って、さっき買ったばかりの暖かい缶の紅茶を手渡してやる。
彼女はミルクティーが好きなんだけど、最近はカロリーを気にしだしていたから、きっとこれでよかったはずだ。
「あぁ、あったまりますねぇ」
にぎにぎと手を温めて、それからプルトップを開けた彼女は、中身に一口口をつけてからほう、と息を吐いた。
「じゃ、行こうか。菜々」
「はい」
俺達のデートは、いつもこんな感じで始まった。
夏には冷たい飲み物を。冬には暖かい飲み物を。春と秋には俺の軽い謝罪から。
兎角、彼女は時間よりも早い時間にいた。そんなことを今でも覚えている。
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