【デレマス】書を読んで。それから……【鷺沢文香】
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8: ◆wg.SkFcIaE[saga]
2017/12/26(火) 01:05:58.95 ID:is+dvmup0
そして青年は、復讐のため高利貸に身を落とします。そうですね……現代で言うところの闇金のような存在と思ってもらえればよろしいかと思います。そんな、心中で己を夜叉とするほどになってしまった青年ですが……恨みの感情で身を焼き切る事ができず、残ってしまった女性への愛情と復讐心の間で板挟みにあってしまいます。そのうえ、高利貸とは人ならざる道です。多方面から恨みを買い、怒りと苦悶に満ち満ちた日々に陥ってしまいます。
9: ◆wg.SkFcIaE[saga]
2017/12/26(火) 01:06:27.98 ID:is+dvmup0
もう一方、資産家に嫁いだ女性の方も、望んだモノは手にしましたが……結婚生活は上手くいきません。産んだ子供も、すぐに亡くなってしまいます。彼女は自ら諦めたはずの青年との愛を思い出し、悔恨の毎日をすごします。剰え、青年に許しを乞い、もう一度その愛を取り戻すことはできないものかとすら考え始めます。今の立場を投げ捨てる覚悟もないままに。
10: ◆wg.SkFcIaE[saga]
2017/12/26(火) 01:07:35.06 ID:is+dvmup0
その後、二人は青年の学生時代の友人の尽力により、久方ぶりの再会を果たすのですが……涙ながらに自らの行いを詫びる女性を見ても、青年は到底その程度で許す気にはなりません。その晩、彼は女性が自害する夢を見ます。彼は夢の中で……許すと叫びながら、自らも女性の後を追って死のうとします。
11: ◆wg.SkFcIaE[saga]
2017/12/26(火) 01:08:33.19 ID:is+dvmup0
すみません……やはり、冗長になってしまいました……。この後もこの物語は続くのですが……実は、作者の死により、最後には未完のまま連載が終了してしまっています。作中の登場人物たち……その誰一人として幸せになることのないままに。若くしての急逝でもありましたが……新聞に連載されていた当時のこの物語には、それは大勢のファンがついていました。読者たちから届く様々な要望、そして連載を続けることで発行部数を伸ばし続けたい新聞社からの意向により……恐らく、作者は当初の予定より完結を引き伸ばさざるを得なかったのでしょう。
12: ◆wg.SkFcIaE[saga]
2017/12/26(火) 01:10:45.96 ID:is+dvmup0
さて……数日前、初めてここにプロデューサーさんをお呼びした際にも、お伝えしましたが……最近、物語を読みながら、空想に身を委ねるだけでなく、そこに書かれている描写に共感する、という楽しみを覚えました。そのようなことが可能になったのも……やはり、私がアイドルとして様々な経験を積んできたから、ということになるのでしょう。
13: ◆wg.SkFcIaE[saga]
2017/12/26(火) 01:11:43.55 ID:is+dvmup0
書の世界に沈み、その外へは目を向けることすらなかった私が、プロデューサーさんに引き上げられ……当時からは考えられないほど、素晴らしい体験を数多くさせていただいて、大切な人たちが一気に増えて。私が日々生きている、この現実という世界も、書の世界に勝るとも劣らない、輝きに満ち溢れた世界なのだと知りました。
14: ◆wg.SkFcIaE[saga]
2017/12/26(火) 01:13:07.90 ID:is+dvmup0
そして、物語の登場人物たちのように、何かを欲すること、そのためにこの身自らが行動し、努力することも学びました。書との出会いは人生を変える、という名言がありますが……人との出会いも、同じように人生を変える、大変尊いものであったのだなと、折に触れて実感します。
15: ◆wg.SkFcIaE[saga]
2017/12/26(火) 01:14:09.99 ID:is+dvmup0
この『金色夜叉』ですが……有名な作品ですが、お恥ずかしながら……私は、つい先日まで読んだことがありませんでした。恋物語というものを、あまり積極的に選ぶことがなかったものですから。ですが、プロデューサーさんにお勧めされた書を読み終わった後……自分でも、選んでみようと思ったのです。そうして手に取ったのが……これでした。
16: ◆wg.SkFcIaE[saga]
2017/12/26(火) 01:14:47.91 ID:is+dvmup0
『金色夜叉』を読んで……私は、様々な想いに共感しました。共感……してしまいました。ヒロインの女性は、手にした愛と手の届きそうな栄誉を天秤にかけ、後者を選びました。しかし……その後も自ら手放したはずの愛を忘れられず、過去の選択を悔やみ続けました。そして、物語を産んだ作者自身も、望んだ形で作品を完成させることができないまま、自身の生涯を終えてしまっています。物語を永遠に未完のままとしなければならないなど……その悔しさは、悔やんでも悔やみきれないほどでしょう。
17: ◆wg.SkFcIaE[saga]
2017/12/26(火) 01:15:24.75 ID:is+dvmup0
それらの想いに共感したからこそ……私は、同じ思いをしたくはありません。
18: ◆wg.SkFcIaE[saga]
2017/12/26(火) 01:15:57.85 ID:is+dvmup0
あくまでも私個人の考えですが……栄光と愛との間で揺れ続けた彼女が、不幸の渦に自身を投じてしまったのは、『どちらかを選ばなければならないと思ってしまったから』……ではないでしょうか。例え、青年との愛を選んだとしても……彼女の決して満ち足りたものとはならなかったことでしょう。
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