7: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:07:30.64 ID:3B1YHSO30
「誰にでも優しいのは、自分以外に関心がないから。けど、その肝心の自分の中には、何も入っていない」
「本当の貴方は、からっぽ」
8: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:09:46.02 ID:3B1YHSO30
優しい人。
そう呼ばれながら、本当は優しさなんて、どういうものなのかわからなかった。
9: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:11:52.49 ID:3B1YHSO30
あれから少し時は過ぎ、担当アイドルは何度か代わり、俺は少しだけ出世していた。
やっていることはプロデューサーで、変わらない。
10: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:14:18.55 ID:3B1YHSO30
「倒産、ですか」
「ああ、比較的新しいプロダクションだったが、先日破産手続きが行われたらしい」
11: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:17:21.78 ID:3B1YHSO30
「確かにあそこの事務所はあまり良い噂は聞きませんでしたね」
「ああ、有力アイドルがいるにはいたが、そのアイドル以外の娘には冷や飯を食わせてるとか」
12: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:19:04.02 ID:3B1YHSO30
一人の看板アイドルを抱えていたが、そのアイドルは実績を盾にしてやりたい放題で、他のアイドル達は非常に立場が弱かった……という話だった。
「ああ、それで、そのアイドルが他所に更なる好待遇で引き抜かれたらしい」
13: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:21:54.59 ID:3B1YHSO30
「あ、はい。今の所は……コミュニケーションを取れていると思います」
急に話を振られ、返答する。
14: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:23:59.21 ID:3B1YHSO30
「全く、しっかり頼むよプロデューサー君。……それより、潰れたプロダクション、例のあの『疫病神』が所属していたらしいじゃないか」
「えっ、疫病神って……もしかして、今までも所属したプロダクションを全て潰してきたっていう、あの娘か?」
参加者達はまた身も蓋もない噂話に戻っている。
15: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:25:33.73 ID:3B1YHSO30
本当にこの娘は俺を信頼してくれているのか?
本当はこの娘も俺の本質の希薄さに気づいていないか?
16: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:27:44.10 ID:3B1YHSO30
会議が行われてから1,2か月経った。
その日は都内のテレビ局に足を運んでいた。
17: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:30:12.27 ID:3B1YHSO30
「ええ、どうやら撮影の時間とっくに過ぎてるのに主役の娘がドタキャンしたみたいで……」
スタジオを覗いてみると、ディレクターと思しき男性の怒号と何処かへと電話を掛けるスタッフ達、そしてその端に少女が一人申し訳なさそうに俯いている。
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