【ミリマス群像劇】最上静香「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
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97: ◆17z5a1JMEs[saga]
2017/12/24(日) 03:52:11.97 ID:tCiOWLnR0

21 〜クリスマス当日〜

観客のほうに目を遣る。再開を期待して残っている客と、事態を察して早々にこの場を離れる客。あたしは判断に迷っていた。ライブハウスでの一件では、その後のライブの盛り上がりは散々だった。そして今、あたしらにはさらに状況が悪いことに楽器すら失ってしまった。
どうする?続けるか?それとも……
そんな私の迷いを見透かしたように、もはや聞き馴染んだあのセリフが私の耳朶を打つ。

「ロックンロールはどこにある?」

驚いた。ここでそのセリフを聞くとは思わなかった。どこだ?セリフを発した主じゃない。ロックンロールだ。あたしが探し求めて止まないロックンロールはどこにある?

翼「ロックンロールはここにある!」

聞こえてきた声に応えるように翼は宣言する。

翼「ですよね、瑞希ちゃん、ジュリアーノ?」

はにかみながら翼はあたしと瑞希のほうを見る。

瑞希「ええ、その通りです。伊吹さん。ロックンロールはここにあります。ですよね、ジュリアさん」

迷いのない眼差しで、瑞希はあたしの目をまっすぐにとらえる。
翼、瑞希……
胸の内からこみ上げてくるものがあった。

ジュリア「まったく。そうだよな。その通りだ。ギターなんてなくてもロックンロールはここにあんだよ。よし、皆!ライブ再開だ!次の曲いくぞ!」

あたしは観客に向けて宣言をする。

翼「じゃあじゃあ、曲はGO MY WAY!!がいいと思いま〜す!」

瑞希「そうですね。なぜか私もその曲が頭に浮かびました。でもいいんですか?ロックじゃないですけど」

瑞希はうかがうようにあたしの顔を見る

ジュリア「いいんだよ。あたしもその曲がいいと思っていたところだ。そいつで行こう」

ジュリアの合図で歌唱を開始する。

ここからが勝負だ。あるのは歌声とダンスだけの勝負。だが負けない自信が今のあたしにはある。そうだよな?翼、瑞希。

「GO MY WAY!! GO 前へ!!頑張ってゆきましょう。一番大好きな私になりたい」

最初の歌詞を歌いきる。そして次の歌詞まで楽器のない今なら無音になるはずだ。

だがそうはならなかった。奇跡が起きたからだ。



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