9:名無しNIPPER[saga]
2017/12/21(木) 20:57:10.95 ID:mBuzVkAP0
身体が後ろに引っ張られて、あわててローズヒップさんにしがみつく。
「もっとゆっくり! ゆっくりで!」
「え、まだ三十キロも出てませんのよ?」
「いやいや、速いです! 速すぎです!」
ローズヒップさんはびっくりしていたけれど、自転車も乗ったことがない私にバイクは速すぎた。
「まあまあ、大丈夫! すぐに慣れますわ!」
「全然大丈夫じゃないですから! というか、よそ見しないでください!」
「こんな遅くだと車もいませんし、別にへーきですわ」
「その油断が命取りになりますから! 絶対!」
「ほい、手放し運転」
「いやー!!」
こんなに声を出したのは、生まれて初めてかもしれない。
ようやくバイクが止まって、私は深く深く息を吐いた。
「……死ぬかと思いました」
「おおげさですわねー、オレンジペコさんは」
「それで、海はどこですか?」
「いや、ただの信号待ちですのよ? まだ十分の一くらいですわ」
「…………」
私は生きて帰れるんだろうか。
「すみません、帰ります。降ろしてください」
「いやいや、折角ここまで来たんですから! ちゃんと海見ないと勿体ないですわ!」
「いえ、十分堪能したので。って、急加速しないでくださいよ! ダメー! ころされるー!!」
一つ、教訓を得ました。
悪い子って、なかなか大変です。
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