高嶋友奈「結城ちゃんは勇者である」
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15:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 22:08:53.05 ID:X3bSqtveo

女の子「……」

女の子「……ば、バーテックスが……たった一撃、で……。……あ……」

友奈(バーテックスが一体居なくなり、私はようやく女の子のそばまで近づくことができていた。視線は前からそらさず女の子へと話しかける)

友奈「もう少しだけ我慢してね。今、私が終わらせてしまうから」ヒューヒュー

女の子「は……はい! ──!? も、もしかして! かなりの無理をしているんじゃ──!」

友奈(そっか……やっぱり私の身体は無理をしているんだね。あどれなりんが出ているからか自分では気にならないけど、身体のどこかから壊れた笛のような音が聞こえ続けている。肺あたりが良くないのかもしれない。……だけど!)

友奈「私は大丈夫。ちょっとだけ待っててね」ニコッ

女の子「……っ……」

女の子「……はい。……悔しいですけど、アタシはどうも……もう立つこともできないようで……。本当に……申し訳、ないですが……よろしく、お願い……しますっ」ペコリ

友奈(話すことさえ難しかっただろうに、途切れ途切れの声でそんな内容のことを女の子は言ってくれた。だから)

友奈「うん、任せて!」

友奈(私はゆっくりと、静かに走り出す。その度に笛の音がひどくなったけど、今だけは無視!)

友奈(バーテックスは私の接近を知って、すぐさまやって来た。攻撃が私に降り注ぐ。だけど──)

友奈(右の掌底でさそりみたいな尻尾の攻撃を受け止め、左手刀でうちわみたいな羽を突き刺す)

友奈(こうして私の両隣にバーテックスが固定された。だから、私は酒呑童子の力を限界まで振り絞り、両拳に最大級の鬼の力を宿らせた)

友奈(……私が今使っている酒呑童子はおそらく完璧なものではないのだろう。鬼の手は最初から影のような姿で実体のない幻のように揺らめいている)

友奈(それでも、不完全であっても酒呑童子の力は本物で、今の私なら二体のバーテックスが相手でも倒しきれると自信があった)

友奈「──かはっ!」ビチャビチャ

友奈(口から生臭いドロッとしたものがあふれ出す。……けど、これも無視。今はあの子を助けて、一刻も早く病院へと連れて行くことだけを考えろ! そして、あの子を一刻も早く日常に戻してあげるんだ!!)

友奈(私の両手からバーテックスよりも巨大な鬼の手の影が現れ、鋭いかぎ爪が伸びる。そして、その手のひらを大きく開く)

友奈(多分、これを使えば私も限界となる。……ううん、もうとっくに限界は超えていたんだ)ビチャ…ビチャ…

友奈(身体中が悲鳴を上げて、強烈な貧血みたいに倒れそうになる。でも、堪える!)

友奈(両の脚で精一杯地面を踏みしめ! 視線は絶対に両手から離さない!)

友奈(私は最後の一撃を放つため、心の中で一度だけ目の前のバーテックスたちに話しかけていた)

友奈(……あなたたちが良い存在なのか悪い存在なのか、正直私には分からない。でもね、やっぱりあの子を傷つけたことだけは……それだけは、許せないんだ)

友奈(だからね、バーテックス。ここで──)






友奈「終わりにしよう!」







友奈(あまりにも巨大な鬼の手が、二体のバーテックスを包み込み──やがて、弾けた)






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