【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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482:名無しNIPPER[saga]
2018/04/22(日) 20:44:47.82 ID:TS+ShyS90

…………………………

 初夏の空気も相まって、校庭は熱気に満ちていた。そんな中を、生徒たちは元気いっぱい、ボールめがけて走り回る。体育のサッカーの授業中だ。

 彼はそれを眺めながら、ボードの上に書類を広げ、逐一生徒の情報記入する。評価基準と評価規準とを思い出しながら、生徒ひとりひとりについて、明確なフィードバックと評定のためにひたすらペンと目をせわしなく動かし続ける。

「まったく、真面目だねぇ、君は」

「……蘭童か。授業中だ。邪魔をするな」

 背後からの声に、彼は目も向けず答えた。

「いやいや、郷田先生。ぼくは今、校庭の掃除をしているところなのですよ。ぼくもしっかりと仕事中ですよ」

「そうか。ならば無言で職務に励め」

「……はぁ。まったく、君はいつから真面目な体育教師に成り下がったのだい?」

「教師という言葉は好かん」

「……はぁ?」

 シュウが怪訝な顔をしたのが、声だけでわかった。

「常に上からものを言っているような印象を与えるからな。私は職務を全うする上で、生徒たちに対して偉そうではありたくない。だから私は、教員とか、教諭とか、そういう事務的な肩書きの方が性に合っている」

「……君は本当にどこに向かおうとしているんだ」

「この学校の先生は真面目で真摯に生徒と向き合っている方ばかりだ。適当な授業をしていたらすぐに潜入がバレてしまう。私は教員の経験などはないのだから、人一倍努力をしなければならん」

「そうかい。どうでもいいよ」

 シュウが呆れるように吐き捨てる。その間も、彼はひたすら、ボードの上の書類に、授業の様子を書き続ける。生徒ひとりひとりの適切な評価のために。

「お前も適当な仕事をしていないだろうな?」

「ぼくが? 心外だな。それは、この学校全体を見ても言えることなのかい?」

「…………」

 たしかに、シュウが赴任してから、学校が隅々までキレイになったとは、職員室でももっぱら評判だ。特に評価が高いのが、中庭の整備作業だ。中庭はまるでヨーロッパの庭園のように生まれ変わりつつある。伸び放題だった植樹は、今やシュウの手によって、様々な動物に姿を変えている。

「……ふん、そうか。そういえばお前は、元庭師で――」



「――その話はやめてくれないか」



 背後に立つシュウの気配が変わった。凄まじい怒気に、彼の背中が総毛立つ。しかし、己が失言をしたということはわかっていたので、彼は素直に、シュウの目を見て、口を開いた。

「すまない。失言だった。私も、同じ事を言われれば恐らく怒るだろう」



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