【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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名無しNIPPER
[saga]
2018/04/08(日) 10:20:52.99 ID:w9vsRS0p0
…………………………
喫茶店、ひなカフェの裏から入れる二階は、寮のような宿舎になっている。
彼は考え事をしながら、その二階の戸を開ける。広い入り口でくつばこに靴をしまい、廊下へ上がる。
「おかえりなさい、郷田先生」
横から声がかかる。寮母のように世話をやいてくれる、この宿舎の管理人、ひなぎくさんだ。下のひなカフェを切り盛りしながら管理人もやっているのだから、日々忙しい人だ。
「先生はやめてください。ここでは私はただの店子です」
「難しい言葉を覚えたんですね。さすが、学校の先生です」
「体育科の教員ですがね」
ひなぎくさんは嬉しそうな笑みを浮かべている。
「……シュウくんがね、申し訳ありませんでした、って謝りに来たの」
「……? 蘭童が?」
「ええ。新たな脅威をむざむざ生み出してしまった、って」
「ああ……」
昨日の、美旗あきらのことを話しているのだとわかった。
「仕方がないことでしょう。それを言えば、わたしは王野ゆうきと大埜めぐみを目覚めさせました。奴の二倍の責任があるでしょう」
「そうね。私も、シュウくんには気にしないように言っておいたわ。彼のせいではないもの」
そう言うと、ひなぎくさんはてくてくと彼に歩み寄った。
「ところで、大事な話があります」
ひなぎくさんは、彼の目の前でそう言った。
「……なんです?」
「“郷田先生”がダメなら、私はあなたのことを何てお呼びしたらいいでしょうか?」
深刻な話をされると思っていた彼は、気が抜けるような思いだった。
「お好きなように」
「うーん……そうね。じゃあ“篤志さん”って呼ぼうかしら」
「……御随意に」
彼はそう答えると、ひなぎくさんの横を通り、自室へ向かった。
「ふふ」
遠く、後から、ひなぎくさんの声が、かすかに聞こえた。
「……順調に育っているようですね。安心しました」
それが何を指しているのか、彼には分からない。なぜなら、その瞬間に、とてつもない闇の発露を感じたからだ。
振り返ることすら恐ろしくて、彼はそのまま、自室のドアを開け、逃げるように、入った。
「ふふ……ふふふふふ……」
宿舎の二階には、その闇を帯びた笑い声が、しばらくの間響いていた。
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