【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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371:名無しNIPPER
2018/03/18(日) 10:03:39.49 ID:uBlGke+q0

……………………

「めぐみは、自分自身を表すのが苦手です。だから、ひょっとしたら勘違いしている人も多いかもしれません」

 大まかな台本はある。それに即して、ゆうきは自分の言葉を肉付けして、口に出す。

「めぐみはとても優しいひとです。わたしと学級委員をやっているとき、わたしが困っているとき、いつでも助け船を出してくれます」

 ゆっくりと、聞き取りやすいように言葉を続ける。少しくらい言葉に詰まったっていい。落ち着いて、ただ、伝えたいことを、伝わるように、伝える。それだけのことだ。

「そう、めぐみはいつも、わたしを助けてくれるんです。学級委員の仕事が放課後にあったとき、早く家に帰らなきゃいけなかったわたしを気遣って、仕事をひとりでやってくれると言ってくれました。わたしが大事なことから逃げ出してしまったとき、わたしを信じて待っていてくれました。めぐみは、いつだって、わたしを信じてくれました。わたしにとって、かけがえのない友達です」

 思い起こされる、めぐみと過ごした、短いけれど密度の高い月日。もちろんプリキュアの話なんかはできないけれど、一緒に過ごした思い出がいくらでも湧いてくる。

「ケンカもしました。ケンカというか、わたしがひとりで怒って、めぐみにひどいことを言ってしまっただけですけど……。それでも、めぐみは優しく、わたしを諭して、助けてくれました」

 ああ、本当の本当に。



 わたしはめぐみのことが大好きなんだなぁ、と。



 ゆうきは、自分の応援演説で、改めてそう思わされた。

「……わたしは、そんなめぐみのことが大好きです。信頼しています。めぐみなら、絶対にいい生徒会長になると思います。だから、わたしは、そんな大埜めぐみのことを、心の底から、生徒会長に推薦します。大埜めぐみを、どうかよろしくお願いします」

 途中から、台本から少し逸れてしまったけれど。

 少なくとも、間違ったことは言っていないと思えた。

 だって、一礼して顔を上げると、大きな拍手が、ゆうきを包み込んでくれたから。

「わっ、わっ、わっ……」

 皆、真剣に、応援演説とも言いがたいような、ゆうきの言葉を聞いてくれたのだ。そして、明るい顔で、拍手をくれているのだ。何の気なしに、教職員の席を見る。嬉しそうな顔の誉田先生が頷きながら拍手をしてくれている。

「あーん、もう。まだあたしたちもいるのにー」

「仕方ないさ。ゆうきのめぐみ愛に溢れる演説には勝てないよ」

 ポン、と肩が叩かれる。ゆうきの後に控えていたユキナと有紗だ。

「じゃ、ゆうき。あとはあたしたちに任せるんだぜ、ってな」

「ゆうきが言い忘れたことも、捕捉しておくよ」

「あっ……ありがとう」

 ゆうきと代わり、マイクの前に、頼りになるふたりのクラスメイトが立つ。その後ろに控えながら、ゆうきはそっと、小さく、ガッツポーズをした。



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